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2022.01.14 政策研究

第1回 政策(人口)と時間

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元・大和大学政治経済学部教授 田中富雄

はじめに

 今回の連載『自治体議会の特質から政策を考える』では、「議論の多様性」をはじめとする議会の特性と「政策の実現条件(時間、合理性、比較など)」を踏まえながら、自治体政策の内容について、そのつくり方と実現方法を考える。
 本稿では、はじめに「議会・議員の特性」、「議会の議論の有り様」について整理し、次に人口の変容に対する政策と時間について考える。人口は自治体の政策に大きな影響を与えるし、その変容には多くの時間を必要とする。政策と時間は密接に関係しているのである。
 なお、一般に政策は、政策・施策・事業で構成されるが、本連載においては、必要のある場合を除き、施策レベル・事業レベルのものも政策として表記する。

議会・議員の特性

 議会は税金を主な財源とする歳入で歳出を賄っている。また、議会の構成員である議員は、首長とともに選挙制度は異なるものの、公選で選ばれている。これらの2点は、市民から信託を受けた政府(自治体政府(地方政府)や国(中央政府))の特徴であり、民間企業とは異なる。
 市民からの信託は、二元代表制をとる自治体政府においては、議会(議員)と首長にそれぞれ託されている。もちろん、これらの信託は、国でも、国際機構でも、市民から託されている (複数信託、重層「政府信託」) [国際機構レベルでは、国経由の間接信託]。
 また、民主主義社会に登場する地方自治の主なセクターには、主権者(市民[団体・企業・法人を含む])と政府(議会[議員・事務局職員]・行政[首長・職員])が考えられる。そして、市民・議会・行政には、それぞれのセクター内外において、また一人ひとりのアクター内外においても複数性・多様性がある。
 議会を例にとれば、一つの議会には背景の異なる議員が存在することから、たとえ同じ会派であっても政策の賛否やその理由について議員間に多様性があることが常態になる。議員間の多様性を生かすためには、議員が自らの限界を知っていることが必要となる。
 議員も人である以上、限界がある。この限界を乗り越えるためには、他者と関わり立場の異なる人の意見を知ることを通し、人のやさしさや複眼的視座をもつことが必要となる。自分の支援者や会派内の議員と議論することはもちろん、自分の支援者以外の市民や異なる会派の議員と議論することは、議員自らの価値(政策)を変容する可能性を高めることになる。そのことは、また議会の合意形成にも役立つ。

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