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2021.11.25 議会改革

【セミナーレポート】「地方議会活性化シンポジウム2021」令和時代を担う地方議会-調査研究・政策立案機能の充実に向けて-

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「調査研究・政策立案機能」充実のための事例紹介

 次に、「令和時代を担う地方議会-調査研究・政策立案機能の充実に向けて-」と題してパネルディスカッションが行われました。
 只野雅人氏(一橋大学大学院法学研究科教授)をコーディネーターに迎え、パネリストとして青木謙順氏(三重県議会議長)、是住久美子氏(愛知県田原市図書館長)、早苗豊氏(北海道芽室町議会議長)、羽生雄一郎氏(全国市町村国際文化研修所調査研究部長兼京都大学公共政策大学院特別教授)、目黒章三郎氏(福島県会津若松市議会議員)の5名が参加されました。
 パネリスト5名からは、それぞれのテーマに沿った事例が紹介されました。
 まず、青木氏からは、三重県で実施されている議員勉強会についての紹介がありました。令和2年度のテーマは「自治体におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進について」「ウィズコロナ期における地方議会の在り方」の2つで、それらが三重県議会委員会条例を改正して委員会のオンライン開催を可能にしたり、議員全員へのタブレット貸与が開始されるといった成果につながったとの報告がありました。一方で、テーマによって熟度や関心に差が生じていること、講義形式のために受動的な参加になっていることが課題として挙げられ、令和3年度には「SNSと人権侵害」をテーマに、体験型講座(ワークショップ)を計画中とのことでした。その他の取り組みとして、学識経験者等で構成する調査機関の設置や、議員で構成する検討会等の設置の紹介のほか、議会事務局の機能強化の例として、議員法制局への職員派遣を継続していることが職員の法制執務能力向上にもつながっている、との報告がありました。
 続いて早苗氏からは、北海道芽室町で行われている議員研修についての紹介がありました。平成24年から議員研修計画を策定し、議会費を予算計上している研修であり、特徴としては、①町民、町職員、周辺議会議員にも参加を呼びかけるオープンな形であること、②研修後は議長にレポート提出が義務化されていること、③議会フォーラムでの基調講演も兼ねていること、④議会運営の内容から政策の研修へシフトしていること、の4点であるとの報告がありました。研修内容は年度当初に研修方針を立て、項目を決めているものの、講師の都合がついた場合には臨機応変に開催を増やすなど、柔軟な対応をしているとのことでした。
 目黒氏からは、会津若松市議会の政策サイクルについての紹介がありました。市民意見を起点とするもので、市内を15のグループに分けた地区別意見交換会、団体との分野別意見交換会などを開催していること、合計200数十人以上が参加し、意見も200以上が出ること、それらの整理し、4つの常任委員会(政策討論会)で検討した上で市への政策提言、事業執行に結び付け、それらをさらに市民へフィードバックしていく、といった1年間の動きについて、詳細にご紹介いただきました。住民福祉の向上を最終目的としたこの取り組みで、実際に採択にこぎつけた案件の例の説明では、執行部からも、議会からの提案があったことで予算が付けられたことを感謝されるなど、その効果について詳細にご紹介いただきました。
 是住氏からは、田原市図書館の行政・議会支援サービスについての紹介がありました。議員からのレファレンス調査について補助を行ったり、議会事務局からは視察先について調査依頼があるなどの報告のほか、図書館という様々な世代の集客力を生かして、議会報告会や広聴の場を開催するようになった経緯についての報告がありました。
 羽生氏からは、全国市町村国際文化研修所(JIAM)における研修についての紹介がありました。職員向けがメインであり、短期間(2泊3日)で、テーマを絞った政策実務研修が多いこと、少人数、演習方式を重視しているという特徴があることから、研修後に横のつながりができ、人脈形成につながるというメリットもあるとの話もありました。市区町村議員向けや議会事務局職員向けの研修も実施していること、大学教員だけでなく民間の方など講師も充実していること、対面が基本だが、オンラインやオンデマンド型の「出前研修」にも対応していることなどをご説明いただき、現時点で参加可能な研修についてのご紹介もいただきました。
 パネルディスカッションの後半の時間帯では、前半の事例を踏まえてそれぞれの自治体からの質疑応答が活発に行われました。
 また、さらに都道府県議会、市議会、町村議会からの代表議員各1名による質疑応答の時間が設けられ、閉会となりました。

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