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2021.11.25 議会改革

第24回 自治体議会の権限について改めて考える(2) ─資料による議決事項の概観─

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 しかし、そのような意欲的な取組みは評価されるとしても、議会制度や議会による決定の意義に関する理解や、議会の「同意」につきどのような意思決定方法によるかは議会に裁量があるとか、法に「議決」と明記されていなければ議会も意思決定方法を条例に包括的に規定し、あらかじめ市民に明示しておけば議決以外で意思決定できるといった理解(8)については、議論のありうるところだろう。その振り分けについても、例えば、義務が生じるわけではない参考人の出頭の要求などはともかく、執行機関の報告請求は執行機関との機関関係に関するものであり、正当な理由がない限り執行機関側は拒むことができないとされているものであることからは、たとえ全会一致が見込まれている場合であっても、本会議の議決によるのが筋ではないだろうか。本稿の表2の「意見」や「請求」として挙げた事項の中に、議長決定や議会運営委員会決定によることが認められうるものがあるとしても、その意義・位置付けなどをしっかりと見定めた上で判断する必要があるといえる。
 なお、表1と表2においては、それぞれの事項の議案の発案者も記載しているが、表1では「主な発案者等」としている。発案者については、現行制度では、議会の議員(委員会を含む(9))と長ということになり(10)、議員と長の両方又はそのいずれかとなることからは、「主な発案者」とすることに疑問をもつ向きもあるのではないかと思われる。
 ただ、発案権の所在の判断の前提ともなるとされる議会の意思決定の区分について、地方自治法が定める事項に関しては、備考において、試みとして「団体意思」、「機関意思」、「執行機関の執行の前提としての意思」の三つの区分も示してみたが、判断が容易でないものやいずれに分類すべきか議論の分かれるものもある(その点では、その記載はあくまでも参考にすぎず、別の区分もありうるところであり、中にはカッコ書で別の分類の可能性を示しているものもある。あくまでもそのようなものにとどまることをご了解願いたい)。地方自治法以外では、その多くの事項が「執行機関の執行の前提としての意思」に関する議決に該当するとも思われるが、そのような事情から、3類型の区分の記載を行わないこととした。そして、前回も触れたように、議案の発案権の所在については、3類型の区分に応じて定まるといわれることが多いが、必ずしもその区分に対応していないものもあり、また、その判断が分かれるもの(11)、形式的には議員にもあるものの実際には議員が提出することはほとんど想定されえないものなどもある。以上のようなことから、主な発案者とすることとしたものであり、「長」としか記載されていない場合でも、形式的には議員にも発案権があると判断されうるものがあることをあらかじめお断りしておきたい。
 これに対し、表2については、意思の区分も発案権の所在も、特殊なものを除き、判断が比較的容易であることから、それぞれについて記載している。ただし、諮問については、これに対する意見の案を議案として提出するのであれば、発案権は当然議員にあることになるが、自治体議会での実際上の取扱いは、議案によることなく、会議において「適当と認める」といった案を議長が諮ったり、そのような案が動議として提出されたりする取扱いをしているところが少なくないようであるので、「発案者等」の欄にはとりあえず「長が諮問」とだけ記載している(12)。そのほか、許可や採択の場合についても、発案という行為があるわけではなく、その記載は発案者とは異なるので注意願いたい。

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