2021.09.27 政策研究
第18回 中心性(その4)
市区町村と住民の関係
二段階軌道型による整序を想定すると、住民は、一般に最も近接性が高いと考えられる市区町村(基礎的自治体)と直接関係を持つことになる。この場合も、天動説的自治観と地動説的自治観が可能である。
特定住民を中心に据え、市区町村が当該特定住民を周回するという地動説的な見方による整序が可能である(図11)。この場合、多数のその他住民も、中心性を持つ特定住民を周回することになる。もっとも、特定住民とその他住民との関係は一様ではなく、近いその他住民Aもいれば、遠いその他住民Bもいるだろう。当該住民を中心に据えた関係の編み目は、その他住民C、D以下、複雑かつ多階層になりうる(図12)。
図11
図12
市区町村を中心に据え、住民が市区町村を周回するような天動説的な位置付けが、より単純明解なものであろう(図13)。市区町村が一つであり、当該市区町村民は数百から数百万までの多数に上るのであって、こうした位置付けの方が、理解するのに容易だからである。実際、市区町村は個々の住民について住民票を持っているので、個々の住民は市区町村との直接の関係を持つ。しかし、他の住民については、個々の住民は直接の関係性を持たないことが普通である。つまり、個々の住民と他の住民との関係は、あくまで共通の市区町村に結合していることにのみ、存在することになる。市区町村に中心性があり、多数の住民に周辺性がある。
図13