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2021.09.10 議員活動

第12回 信頼と議員

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6 継続的な民主主義社会を生む「二重の信頼」

 宮脇昇は、高度に制度化された民主主義社会は、主体間の信頼関係(①)を基礎として構築され、その根源には権力分立による相互けん制が有効に作用しているという信頼(②)がある。この二重の信頼(①、②)によって民主主義社会は継続的でありえるという(宮脇 2019:14)。
 このことは、民主主義社会のぜい弱性と、民主主義社会における権力分立(相互けん制)という制度の必要性を示している(図4参照)。今は継続的な民主主義社会であっても、ぜい弱性を内包していることを忘れてはならない。
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出典:筆者作成
図4 継続的な民主主義社会を生む「二重の信頼」

7 「信頼毀損ループ」から「信頼回復ループ」への脱出

 現実には、政治不信に象徴されるように民主主義社会においても信頼関係を毀損する言行が少なくない。(そのことにより、)社会全体における意思決定の誤謬性は増大しうる(宮脇 2019:14)。信頼は政策形成や政策実施をより効率化させるための資源であり、政治への信頼は政治的正統性を担保するとしている(宮脇 2019:15)。
 図5は、前段の内容を「信頼毀損ループ(輪)」(A)と「信頼回復ループ(輪)」(B)に分け表したものである。政治を担う議会には、「信頼毀損ループ」に陥ることのないように留意する必要があり、「信頼毀損ループ」に陥っている場合には「信頼回復ループ」に軌道修正できる方策と力(チカラ)が求められる。
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出典:筆者作成
図5 「信頼毀損ループ」と「信頼回復ループ」

8 「正しい情報」は不確実性を減少させ信頼につなげる

 藤本吉則によれば、複数の情報を組み合わせることによって、一つの情報だけでは明らかでなかった政策、事業等のより詳細な情報を得ることができるようになる。もちろん、情報の増加が単純に不確実性を減らすとは限らないものの、情報の存在が不確実性を減少させるための必要条件であり、電子政府による情報提供の増加は、国民が政府を信頼する方向に影響を与えるという(藤本 2019:63)(図6参照)。
 これらのことは、自治体政府(議会・行政)にも当てはまる。ただし、情報過多の社会では、求められる情報の質が一層問われることに留意する必要がある。例えば、情報が多いからといって概要版のみに目を通していたのでは、概要版が本編を正しく反映していない場合には判断を誤ることにつながる。
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出典:筆者作成
図6 情報と信頼の関係

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