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2021.08.25 議会改革

第21回 日本の自治体議会を相対的に見る──自治体議会の国際比較

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4 ドイツの地方自治制度と自治体議会

 ドイツ連邦共和国における地方自治の保障は、基本法28条で規定されており、その2項によれば、ゲマインデは法律の範囲内において「地域的共同体に関するすべての事項を自己の責任において規律する権利」が保障されていなければならないとしている。一方、ドイツでは連邦制が採用されており、州は、基本法の規定の枠内で地方自治体に関する立法や自治体の行政の監督を行う権限を有するため、地方自治体の法的・政治的・行政的な形態は州によって異なることになり、その種類と形態については、各州の憲法において規定されているほか、都市州を除くすべての州では、連邦法に従い、地方自治体法が制定されている。ドイツにおける地方自治の原則としては、民主主義の原則、分権主義の原則(補完性の原理)、自治体議会議員の名誉職的性格などがあるといわれる。
 都市州を除く各州における地方自治体は、最も基礎的な地方自治体であり、日本の市町村に該当するゲマインデ(Gemeinde)と、その上位のレベルであるクライス(Landkreis:郡と訳されることが多い)の二つに区分される(8)。ゲマインデは通常、クライスに所属するが、クライスに所属しない都市は、郡独立市と呼ばれ、クライスと同格の地位をもち、ゲマインデとクライスの機能を併せもっており、地方自治体であるとともに州の下級行政庁でもある。他方、都市州(ベルリン、ハンブルク、ブレーメン)は、州と地方自治体双方の性格を有する特殊な自治団体であるということもでき、都市州における基礎的行政レベルは地区である。
 地方自治体は、その自己責任に基づく地域の課題に関する自治行政権を有し、各層の自治体は、固有の権限に基づき事務を遂行している。
 ゲマインデは、限定的なものもあるが、一定の地域を有しその地域における代表法人としての行為能力(地域高権)、地域共同体に関するすべての事務事業について自らの判断で規律できる権利(事務高権)、税の賦課を含む自己の予算を執行し財産を管理する権利(財政高権)、その組織を直接又は間接的に規定する権利(組織高権)、その職員を採用し昇任させ配置転換を行い解雇する権利(人事高権)、その地域を自己の責任により規制し形成する権利(計画高権)、その地域の関係事項を自己の責任に基づいて法的に規制する権利(条例制定高権)を有する。
 また、クライスは、州の下級行政庁として州の事務を実施するほか、ゲマインデ相互間の補完的・調整的機能を果たす地方自治体として、その地域内で、法的に他の取決めが規定されていない場合に、各ゲマインデの行財政処理能力を超えた事務事業、広域的な実施がより効率的・効果的な事業、複数のゲマインデにわたる事業、調整事務などを行う。
 地方自治体の政治的な代表者は、首長、議長又は議会であり、そのいずれが自治体を代表するかは、各州の地方自治体法によるが、通常は首長が代表者である場合が多い。首長は、名誉職である場合(小規模で首長のみが存在し、独自の行政官庁やスタッフをもたないクライス所属のゲマインデ)と常勤職である場合(独自の行政官庁とスタッフをもつ地方自治体)とがあり、その任期は、州によって異なるほか、名誉職か常勤職かなどによっても異なり、また、その選出についても、住民による直接選挙、議会による選出などの方法がある。

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