地方自治と議会の今をつかむ、明日につながる

議員NAVI:議員のためのウェブマガジン

『議員NAVI』とは?

検索

2021.08.25 議会改革

第21回 日本の自治体議会を相対的に見る──自治体議会の国際比較

LINEで送る

 フランスの地方自治体の基本構造は、議会(conseil)と議会内から選出される首長・副首長によって組織される執行理事会(bureau)からなり、議会の議長と首長は同一の人物であり(コミューンではメール、デパルトマン・レジオンではプレジダン)、議員(conseiller)から選ばれる。それを補佐する複数の副メール・副プレジダンも議員の中から互選され、メール・プレジダンを補佐する執行理事会の構成員となる。メール・プレジダンは、自治体を代表し、執行機関として権限をもち、諸部局の監督と各部局の長への専決権の付与、訴訟の遂行などの役割を担う。
 自治体議会は、予算・地方税率・地方債の枠組みや財産の取得・譲渡等の決定、公共サービスの創設と組織化、公共工事請負契約の枠組みの決定、訴訟の承認など当該自治体に関する事項について審議・決定を行う。議会は、少なくとも4半期に1度は開催されなければならず、また、メール・プレジダンは、必要と認めた場合に臨時会議を開くことができるほか、議員の3分の1以上(デパルトマン・レジオンの場合はそのほかに常務委員会)の要求、さらに、特別な場合は中央政府のデクレ(コミューンの場合は所轄の県のプレフェの求め)によって開催される。他方、自治体議会は、機能不全に陥った場合には、閣議の議を経ての理由を付した国のデクレによって解散されうることになっている。
 デパルトマン議会とレジオン議会には、議会閉会中も活動の継続性の確保の役割を果たす常務委員会(commission permanente)が設置され、プレジダン、副プレジダン、1人から数人のヒラ議員によって構成される。デパルトマン議会・レジオン議会は、予算の議決等を除き、権限の一部を常務委員会に委任することができ、常務委員会は議会の代行機関の役割を果たしている。
 自治体議会の議員定数は人口規模等に応じて地方自治体総合法典や選挙法典によって定められており、その任期は6年であり、コミューン議会議員とレジオン議会議員は一斉改選、デパルトマン議会議員は3年ごとに半数改選される。
 コミューン議会議員の職務は原則的に無償であるが、人口10万人以上のコミューン議会議員は報酬を受けることができるほか、コミューン議会が認める職務を執行する場合には一定の上限で必要経費について費用弁償される。また、デパルトマン議会議員とレジオン議会議員には、その職務の遂行に対して手当が支給される。
 フランスでは、国や地方の公務員でも一定の制約のもとでその身分を維持したまま公職に就くことが可能であるほか、選挙で選ばれる公職の兼任が広く認められており、例えば、国務大臣かつ地元のコミューンのメールかつデパルトマン議会議員、国民議会議員かつ地元コミューンの副メールかつデパルトマンのプレジダンなどといったこともある(7)

この記事の著者

編集 者

今日は何の日?

2025年 425

衆議院選挙で社会党第一党となる(昭和22年)

式辞あいさつに役立つ 出来事カレンダーはログイン後

議員NAVIお申込み

コンデス案内ページ

Q&Aでわかる 公職選挙法との付き合い方 好評発売中!

〔第3次改訂版〕地方選挙実践マニュアル 好評発売中!

自治体議員活動総覧

全国地方自治体リンク47

ページTOPへ戻る