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2021.08.25 議会改革

第21回 日本の自治体議会を相対的に見る──自治体議会の国際比較

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7 日本の地方自治制度と自治体議会

 地方自治制度や自治体議会をめぐっては、ヨーロッパでは、近年、その制度やあり方が大きく変化し、より多様化してきている一方、大きな変化が見られないアメリカでも、その姿は実に多様である。
 これらと比較して、日本の地方自治制度や自治体議会については、基本的形態に変化はなく、かつ、極めて画一的であることがその特徴として浮かび上がってくる。また、日本では、地方自治の基本構造として、二元代表制や議会=議事機関を所与のものとした見方や議論をする向きもあるが、決してそうではないことも理解されるべきだろう。首長の直接公選制を導入する自治体が増加している国もあるものの、ヨーロッパでは、議会こそが地方自治の中核となっているだけでなく、首長等が議会で選ばれたり、議員が執行機能も担っていることが少なくない。自治体議会は、議決機関ではあるものの、多様な役割を担っており、それに応じて議員の役割も一様ではない。日本の自治体の基本構造や自治体議会のあり様は、必ずしも一般的というわけではない。
 かつて、民主党政権時代に、総務省は、「地方自治法改正についての考え方(平成22年)」で、自治体の基本構造の見直しとして、①議会が執行権限の行使に事前の段階からより責任をもつようなあり方と、②議会と執行機関それぞれの責任を明確化することによって純粋な二元代表制の仕組みとするあり方の二つの方向性を示した上で、①として「議員内閣制モデル」(例えばイギリスの「公選首長と内閣制度」のようなもの)と「特別職の兼職許容モデル」(議員から副知事・副市町村長を選任するもの)、②として「純粋分離型モデル」(議会と長を分離する純粋な二元代表制とするもの)、①②のいずれでもないものとして「自治体経営会議モデル」(議員その他外部人材からなる合議体を設けるもの)と「多人数議会と副議決機関モデル」(多人数議会又は住民総会と副議決機関が併存するもの)を提示したことがある。ただし、日本国憲法上許容されるか否か、自治体運営の円滑化に資するのか、長と議会の均衡と抑制の関係をどう考えるかの観点から様々な意見や、複数の選択肢の中から基本構造を選択する場合の選択方法などの問題もあるとの留保付きのものであり、地方六団体などにおいても慎重な意見が強かったことなどから、それ以上に検討が進むことはなかった。

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