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2021.08.25 議会改革

第21回 日本の自治体議会を相対的に見る──自治体議会の国際比較

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 地方政府の主な形態としては、市長─議会型、議会─支配人型、理事会型などがあり、多くの州で一般法により政府形態の種類とホームルールについて定め、自治体の有権者による政府形態の選択を認めている(なお、以下の政府形態や議会に関する数値は、注も含めアメリカICMAの2018 Municipal Form of Government Surveyによる)。
 このうち、市長─議会型(Mayor─Council)は、権力分立により市長が執行機関、議会が立法機関として相互に機能を分担し抑制・均衡を図りながら市政運営を行う形態であり、人口2,500以上の自治体の38.0%が採用しているものである。これには強市長型(Strong-Mayor Form)と弱市長型(Weak-Mayor Form)があり、強市長型では、市長は、行政府の長として、有権者から直接選挙で選出される場合が多く、予算編成権、部局長の任命権、議会に対する拒否権などをもつのに対し、弱市長型では、市長は、直接選挙のほか、議員による互選で選出される場合があり、予算編成権、部局長の任命権、議会に対する拒否権などをもたないものである。弱市長型は比較的規模の小さい都市に見られる。
 また、議会─支配人型(Council─Manager)は、議会から任命された専門行政官である支配人(City Manager)が、行政部門の執行を行うものであり、人口2,500以上の自治体の40.0%が採用している。支配人は、人事、予算、各事業の執行など幅広い権限をもつが、議会に対する拒否権はもたず、自らを任命した議会に対して責任を負う。支配人のほかに、市長がいる場合には、通常、議員の中から指名され、儀礼的行為に携わる。
 さらに、理事会型(Commission)は、直接選挙で選出される数人の理事が、合議制の理事会において政策決定を行うものであり、各理事は、個別の行政部局を分担する行政官としての役割も担う。理事が交代制で市長としての儀礼的行為に携わる場合もある。人口2,500以上の自治体の11.9%が採用している。
 なお、アメリカの一部の地域では、タウンミーティング(住民総会)の伝統が残り、例えば、オープンタウンミーティングの場合、年1回住民の大部分が集い、行政を担う理事を選出し、予算、条例、その他その後1年間の地域の公的な取組みについて議決が行われるなどしている。その形態は多様であるが、人口2,500以上の自治体の9.6%でTown Meeting、0.5%でRepresentative Town Meetingが行われている。
 地方政府の議会も実に多様であるが(12)、議会の議員の任務・役割としては、①住民の利益のため発言し決定する代表任務、②討論し、条例を制定し、決議等を採択する立法任務、③行政部局を監督する執行監視任務があり、準司法的機能を果たす場合もある。
 自治体議会の議員数は少なく、4人以下が12.0%、5人が39.3%、6人が12.5%、7人が26.1%、8人以上が10.1%となっている。自治体議員の選挙は、全域選出が68.0%、地区選出が18.4%、混合式が13.6%であり、また、選挙の方式には党派選挙と無党派選挙の二つがあるが、多くの自治体が無党派選挙の方式を採用するようになっている(13)。自治体議員の任期は2年、3年、4年、6年などとなっており、同時任期と時差任期があり、部分交代方式が採用されることが多い。
 自治体議員の大半が非常勤であり(常勤5.5%、非常勤92.1%、両者の組合せ2.3%)、週に1回から月1回程度の頻度(14)で周期的に開催される会議に出席する。自治体議会の会議や公聴会は、大都市では昼間開催されることが多いが、中小都市やタウンでは夜間開催が多い。報酬については、大都市の専門議員を除き、無報酬か、あるいは出席当日の旅費が支給されるにとどまる。

 

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