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2021.07.28 議会改革

第20回 地方議会・自治体議会の歴史から学ぶ

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(3)自治の拡大と大正デモクラシー
 その後、1899(明治32)年には府県制と郡制が、1911(明治44)年には市制町村制がそれぞれ全文改正される。
 新しい府県制では、府県を法人と明定し、官の監督を受け、法律命令の範囲内で公共事務・委任事務を処理するものと規定されるとともに、府県会については、複選制が廃止され、郡市を単位とする選挙区で選出される議員によって構成されることになるとともに、議員は選挙ごとに全員改選とされた。また、郡会議員についても、複選制・高額納税者議員制が廃止された。
 市制・町村制では、市町村の法人としての性格やその権能・負担の範囲の明確化のほか、市の執行機関を独任制の市長とし、市参事会は副議決機関化されるとともに、市町村会議員に関する規定の整備が行われ、定数の上限60人が撤廃され、任期は4年で全員改選とされている。
 1920年代の大正デモクラシーの時代には、選挙権の拡大がなされ、男子のみの普通選挙の実現に至るが、地方議会議員の選挙においても普通選挙を実施するための1926(大正15)年の市制・町村制・府県制の改正では、そのほかに、市町村長の選任について内務大臣の裁可や知事の認可は不要とされ、市町村会で選挙することとされるとともに、市町村を中心に府県も含め許認可事項の整理がなされ、さらに1929(昭和4)年の市制・町村制・府県制の改正でも、自治権の拡張が図られることとなった。すなわち、市町村会については、議員に発案権が付与され、市町村会の意見書提出権等が拡大されるとともに、市町村長の原案執行権の制限を強化することで議決機関としての権限が強化され、町村議会でも特別の事情がある場合には議長の互選が認められることになった。また、府県についても、条例・規則の制定権が認められたほか、議員に議案の発案権と議会招集請求権を付与するとともに、知事の原案執行権の制限を強化し、知事の議会停止権と内務大臣の予算削除権に関する規定が廃止されるなどした。
 なお、郡制については、行政の煩雑化をもたらすだけで自治団体の実績に乏しいとして、1921年に郡制を廃止する法律が成立し、1923年4月に、地方公共団体としての郡は廃止され、地方公共団体が二層化されるとともに、郡は純然たる国の行政区画となったのであった。
 

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