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2021.06.25 議会改革

第19回 自治体議会の空間

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(4)見える化や開放化の工夫
 自治体議会のあり方を考える際に住民との関係や対話が重要となることはこれまでにも述べてきたところであるが、住民に開かれた議会とするためには、傍聴席の配置なども重要となってくる。
 この点、傍聴者が議場全体を見回せるよう傍聴席を上段に設けることが少なくないようだが、中には、議員との距離を縮めるために、例えば馬蹄形の議員席と同じフロアーに傍聴席を設置したり、円形の議員席の後ろ側に同一平面で配置したりするところもある。長方形の対面式では、議長席と向き合う形で傍聴席が設けられることが少なくない。
 障害のある住民の傍聴のため、傍聴席のバリアフリー化はもちろんのこと、手話通訳、点字資料の提供なども必須となっている。
 また、議場に大型スクリーンを設置して、傍聴者やインターネットによる視聴者にも画面が見えるようにし、そこに議案や質疑応答に関連する資料、あるいは発言者の様子を映し出すことなども行われている。これによって、審議の内容や様子をより分かりやすく立体的に伝えることにもなるといえる。
 議員にタブレット端末を配付し、大型スクリーンと連動させることなどにより、ペーパーレス化を進めている議会もある。ペーパーレス化は、議会運営の効率化の象徴の一つともなっており、紙資料の削減による森林資源の保護、印刷コストと配付コストの削減、会議進行の効率化、省スペース化など様々な効果が期待できるといわれる。ただ、それがどこまで審議の充実につながっているかといえば、なお未知数のところも少なくないようだ。議会におけるICT化・デジタル化は、今後とも拡大していくものと思われるが、それ自体が目的ではなく、あくまでも議会が機能を発揮するための手段であることが銘記されるべきだろう。
 なお、その一環として、電子採決システムを導入する議会も増えてきているようだが、採用するのであれば議員の賛否に関する情報をきちんと公開するようにすべきだろう。
 このほか、議場の様子を外からも見えるようにする例、議場を議会専用とするのではなく、イベントの開催などに開放する例やホール機能をもった議場とする例、議会以外の多目的用途で利用できるスペースとする例、災害時の対策本部等の利用も想定した例なども見受けられる。議場の多機能化のため、座席のほか、壁なども可動式となっている議場もある。
 議場については、議会の権威や格式を示すものとなることにこだわる向きも強いが、審議を住民にどう見せるのか、見てもらうのかという発想も重要であり、その点からは、分かりやすさや開放性など住民との距離を縮めるための工夫などが求められる。

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