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2021.06.10 政策研究

【第3回】予算審査における「議員間討議」に「ワールドカフェ」を活用~宮城県柴田町議会の取組み~

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議員間討議の前提は「対話」

 議員間討議の前提は「対話」だ。対話というと、じっくり話をすることと思われることがあるが、それだけでは不十分。対話とは、「意味付け」を確認し、「新しい関係性」を構築するプロセスである。これは、哲学の社会構成主義に基づく。社会構成主義の前提は、物事の意味とは客観的な事実ではなく、社会的な構成物であるということ。つまり、人々は客観的な事実ではなく、それぞれがその事実への意味付けを通して世界を理解している。それぞれの意味付けが違うと、同じものを見ていても見え方が違い、誤解や混乱が生じてしまう。そのため、相互に理解するためには、物事を一緒に意味付けるプロセスである対話が必要になる。
 各議員の予算に対する意味付けも異なる。この予算が必要だと思う議員も、不必要だと思う議員もいる。また、その理由もそれぞれ異なる場合がある。「対話」とは、違いに耳を傾け、意見の多様性を知り、新しい知見を得る話し合いだ。もしかすると自分の意見は間違っているかもしれない、相手の意見がより良いものかもしれないといったスタンスで話し合いに臨む。それに対して「討論」は、互いの立脚点を明らかにして、相手を論破する話し合いのやり方だ。前提にあるのは、自分の意見は絶対正しい、相手の意見は必ず間違っているという考え。相手を否定する「討論」からは何も生まれないが、お互いに認め合う「対話」を通してこそ、新しい気づきやアイデアが生まれる。
 現在は、変化が速く複雑な時代のため、誰も答えを知らない事態が多い。その結果、異なる見解や要求を融合しなければ事態は動かず改善しない。こうした時代だからこそ、対話が求められている。議会は最終的に物事を決める場所なので、討論して決めることは避けられない。しかし、討論の結果の質を担保するのは、前提としてどれくらい丁寧に対話を行うかである。
 対話の方法論として「ワールドカフェ」は取り組みやすく、応用範囲が広い。前回の奥州市議会では、政策サイクルの中の住民意見のヒアリングの場面でワールドカフェが活用されていた。柴田町議会の事例は、ワールドカフェが議員間討議の方法論としても可能性があることを示していると思う。
 

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