2021.06.10 政策研究
【第3回】予算審査における「議員間討議」に「ワールドカフェ」を活用~宮城県柴田町議会の取組み~
ワールドカフェによる「議員間討議」の進め方
以下、柴田町議会での予算審査における議員間討議について詳しく紹介する。
(1)予算審査に備えた所管事務調査
2月10日、3常任委員会ごとに、委員会の所管事務調査の位置付けで、2020年度予算執行に当たっての要望、2019年度決算審査時の提言、これまでの所管事務調査で報告したこと、町長の施政方針の内容、予算書等を確認しながら、議員間討議を実施。
執行部に対して事前確認すること(数字、データ等)、本会議で総括質疑すること(方針を問うもの)、予算審査特別委員会で質疑すること、について話し合う。また、質疑を個人プレーにしないように、委員長が質疑内容を委員に割り振る。
(2)特別委員会質疑前のワールドカフェ
2月19日、議員全員による予算審査特別委員会で、予算書の読み込みを前提に、議会事務局職員がファシリテーターになり、ワールドカフェによる議員間討議。予算書に関して、おおむね満足していること、議論の余地があると思うこと、絶対に譲れないこと、について、付箋を活用しながら話し合いを行う。議員がざっくばらんに意見を共有することで、各議員の視野が広がる効果があった。出された意見は特別委員会の質疑の参考となるよう事務局が一覧表としてまとめ、議員全員に共有した。
特別委員会質疑前のワールドカフェ
(3)特別委員会質疑後のワールドカフェ
2月26日、予算審査特別委員会での質疑を踏まえて、議員全員による予算審査特別委員会の位置付けでワールドカフェによる議員間討議を実施。質疑を通しての感想、執行部に対して言いたいこと、予算執行に当たって執行部に注意してほしいこと、について話し合いを行う。その後、個人作業で特に重要だと思うことを三つに絞り込んでもらい共有、議員の問題意識を集約。集約されたテーマについて、議会として何ができるか、議論を深める。
特別委員会質疑後のワールドカフェ
(4)提言、要望書に向けた特別委員会の議員間討議
予算審査特別委員会質疑後のワールドカフェを踏まえて、3月1日、所管委員会による分科会で議員間討議。これまで出された意見を付箋に書き出し、シールで投票を行い、意見に優先順位を付けながら議論をした。
分科会で集約された意見に対して、3月1日、2日の2回、議員全員による予算審査特別委員会で議員間討議を実施。提言、要望書に向けた議論の最終調整を行った。
提言、要望書に向けた議員間討議
(5)町長へ提言、要望書提出
3月3日、本会議での採決後、予算審査の議員間討議の成果として、高橋たい子議長から滝口茂町長に、2021年度予算執行に当たっての提言と要望事項を提出した。内容は、提言として、総合体育館建設に係る実現可能性調査コンサル委託について。要望として、地域公共交通活性化事業(デマンド型乗り合いタクシー)について、であった。
町長への提言、要望書の提出