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2021.06.10 政策研究

【第3回】予算審査における「議員間討議」に「ワールドカフェ」を活用~宮城県柴田町議会の取組み~

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早稲田大学マニフェスト研究所招聘研究員 佐藤 淳

《今回のキーワード》

  • 議会からの政策サイクル
  • 予算決算審査
  • 議員間討議
  • ワールドカフェ
  • 対話

 

「議員間討議」が「政策サイクル」の鍵

 これまでの議会改革で住民福祉は向上してきたのか。議会が住民福祉の向上に資するためには、議会からの「政策サイクル」を回すことが必要になる。「政策サイクル」とは、住民との意見交換会等から、政策のタネを拾い上げ、議員間討議を重ねて、議員提案による政策的条例の制定や首長への政策提言が行われ、住民生活に影響する予算への反映等が行われることである。
 筆者は、政策サイクルを回す仕組みとして、各常任委員会における所管事務調査の延長戦として政策提言を実施する場合と、予算決算審査のプロセスの中に政策提言を組み込む場合と、大きく二つのケースがあると想定している。前回(連載第2回)は、前者のケースとして、岩手県奥州市議会の取組みを紹介した。今回は後者のケースとして、宮城県柴田町議会の予算審査のプロセスを紹介する。
 また、どちらの場合にも、政策サイクルを回す上で鍵になるのが、「議員間討議」である。柴田町議会の予算審査の特徴は、議員間討議に、話し合い、「対話」の手法の一つである「ワールドカフェ」を活用しているところである。「ワールドカフェ」とは、カフェにいるようなリラックスした雰囲気の中で、4~5人の少人数のグループに分かれ、参加者の組み合わせを変えながら、自由に話し合いを発展させていく対話の手法だ。柴田町議会では、2016年に町内の県立柴田高校の生徒との意見交換会に初めてワールドカフェを活用。その効果に手応えを感じ、議員間討議においても、2018年の総合体育館建設に関わる調査、2019年には次期総合計画の策定に関して、ワールドカフェによる議員間討議を行っている。
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柴田町議会議員の皆さん

まず「議員間討議」を前提とした審査スケジュールに

 柴田町議会では、2018年度の決算審査から、試行錯誤を重ねながら、2020年度予算審査、2019年度決算審査において、議員間討議を実施し、そのやり方としてワールドカフェを活用してきた。議員間討議の結果は、付帯決議、提言、要望の形にまとめ、その後の予算等に一部反映されている。
 その取組みのプロセスで気づいたことの一つは、議会日程が議員間討議を前提とした審査スケジュールになっていないということである。議会は本来、議員同士で議論するべきところであるが、これまでは、執行部への質疑に終始し、議員間討議はほとんど行われていなかった。そのため、日程が議員間討議を前提としていない場合が多い。予算審査に関しても、予算書が送付された後、十分に読み込む時間的余裕もなく予算委員会での質疑。質疑の結果を踏まえての議員間の議論もなくすぐに採決。ひどい場合には、午前中まで質疑を行い、午後に採決といった、議案への賛成を前提としたような日程が組まれている議会もある。
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予算審査に備えた所管事務調査

 柴田町議会では、2021年度予算審査に際して、執行部の協力も得ながら、議員間討議を可能とした予算審査スケジュールを組んだ。特徴的なことは、予算審査特別委員会での質疑の前後に、ワールドカフェによる議員間討議の日程を確保したことである。
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