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2021.05.12 議員活動

第8回 評価と議会

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8 評価に求められる価値

 次に、評価に求められる価値について考えてみよう。評価に求められる価値には様々なものがある。その価値は、表4に示すように「規範・理念に基づくもの」と「経済的合理性に基づくもの」に大別することができる。このことは、評価に求められる価値の二面性を表している。この二面性は、今回の新型コロナウイルス感染症対応を見ていても分かるように、「ウイルスを抑え込み命を守るか、開業時間を維持し経済を維持するか」というように相反することもある。また、「規範・理念に基づくもの」に区分したものの中においても、「薬の安全性確保」と「治療の緊急性確保」のように相反することもある。「経済的合理性に基づくものに区分したもの」の中においても「高い効率性」と「確実な実現可能性」のように相反することもある。各論では評価が分かれることも少なくない。評価においても、なぜこのような価値が求められているのかを思考する議会・議員が期待される。
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出典:筆者作成
表4 評価に求められる価値

9 「事業仕分け」の効用・限界・工夫

 評価の一つの手法として、「事業仕分け」(自治体により「事業見直し」、「公開事業点検」など名称は様々)がある。「事業仕分け」は、三重県の「事務事業評価」が発端となり、2000年代に入ると広がりを見せてきた。評価をする仕分け人は、市民であったり、学識者であったり、他自治体政府の職員であったり、それらの組み合わせであったりと多様であった。見直す事業数も、10事業程度の自治体から数年かけて全ての事業を実施したものまで様々であった。この取組みは、自治体職員に緊張感を与えたが、自治体議会・議員は、どの程度関心を持ったであろうか。
 「事業仕分け」の結果は、市の例であればおおむね「廃止」、「民間化」、「国・県で実施」、「市(改善)」、「市(継続)」のように分類されたが、最終的な自治体政府の結論は、「事業仕分け」の結果よりも現状維持に傾く傾向にあった。また、「事業仕分け」が長く続くと、「廃止」、「民間化」、「国・県で実施」、「市(改善)」に該当する事業は少なくなり、「市(継続)」とすることが多くなる。雑巾を絞っても一滴も水が出ない状況である。そこには、自治体議会・議員の工夫も求められてくる。

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