2021.04.26 議員活動
第12回 復興支援の新しい仕組み、創造的復興
結びにかえて
昨年4月から12回にわたり、自治体議員の視点に立った防災復興政策について、制度と実際の政策を東日本大震災の経験を踏まえて考えてきました。折しも新型コロナウイルス感染症の脅威が世界を席巻し、人々にとって不安と恐怖の1年でしたが、ようやくワクチン接種が始まり、わずかな光明がみえてきた段階です。
感染症は、自然災害とは現時点の法令上の扱いは異なりますが、この連載でも取り上げたように、自治体行政からみた場合、両者は様々な点で類似点がみられます。しかし、感染症危機からの復興の場面においても、自治体の首長、議員、職員は、災害からの復興政策の世界標準である「『創造的復興』=Build Back Betterの精神」を生かすべきです。アフター・コロナを考え、よりよい地域社会の構築に向けて、コロナ禍から教訓を学ぶことが大切です。この意味では、被災自治体が、災害からの復興計画をいち早く策定したように、アフター・コロナの地域社会の近未来図を示すことが大切です。
大規模な災害、感染症等への危機管理や、その被害からの復興で、自治体の政策を総動員させる経験やノウハウは、必ず他の分野でも活用できる自治体の組織としての財産になると考えます。議員の皆さんにとって、この連載が、防災復興政策を前向きにとらえる契機となることを期待して結びにかえさせていただきます。
(1) 環境省「災害廃棄物処理事業の概要について」(http://www.env.go.jp/recycle/waste/disaster/h30gouu/01_jigyougaiyou.pdf)参照。
(2) 大澤秀一「特区制度:地域活性化への取り組み(基礎自治体への期待と不安 第4回)」大和総研「ESGの広場」(2014年7月7日)(https://www.dir.co.jp/report/research/introduction/economics/esg-municipality/20140707_008731.pdf)参照。
(3) 礒崎初仁「東日本大震災復興特別区域法の意義と課題(上)(下)」自治総研通巻403号(2012年5月号)及び405号(2012年7月号)参照。
(4) 礒崎・前掲注(3)参照。
(5) 「兵庫県阪神・淡路震災復興計画」(1995年7月)理念と目標・基本方針(3)参照。
(6) 浜口伸明「創造的復興について」国民経済雑誌207巻4号(2013年)35頁参照。
(7) 第3回国連防災世界会議「仙台防災枠組2015-2030(骨子)」参照(https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000071588.pdf)。
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