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2021.04.26 議員活動

第12回 復興支援の新しい仕組み、創造的復興

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関東学院大学法学部地域創生学科教授 津軽石昭彦

第12回(第23講、第24講)のポイント
1 大規模災害からの復興を迅速に進めるためには、財政的な支援のみならず、規制緩和や手続の簡素化も併せて必要となる。
2 大規模災害からの復興プロセスでは、財源や人材などの資源配分機能を持つ国の役割は重要であるが、地域の実情に合わせて復興を進める自治体が自主性を持って役割を果たすような制度設計の組み合わせが求められる。
3 阪神・淡路大震災からの復興プロセスで生まれ、東日本大震災からの復興でも継承された「『創造的復興』=Build Back Betterの精神」は、防災復興政策の世界標準となっている。

第23講 復興支援の新たな施策

大規模災害の被災地では、被害から復興に時間がかかってしまい、他の地域との格差が生じてしまう懸念があります。このため、国や自治体では、被災地における復旧・復興の取組みを加速化し、被災地と他の地域との格差を埋めるための様々な取組みが行われます。ここでは、東日本大震災で行われた復旧・復興の迅速化や格差是正のための新たな施策を例に紹介します。

1 大規模災害の被災地における新たな施策の類型
 大規模災害の被災地では、災害規模に比例して、影響を受ける住民の数、属性などが多くなり、地域や産業分野の面でも広範囲にわたる国や自治体の施策が必要になります。これらの施策がフルセットの形で行われているのが、東日本大震災からの復興のための施策です。
 その多くは、既存の法制度や国庫補助制度を、復興事業を迅速化させるために改良したものであり、東日本大震災復興特別区域法(以下「復興特区法」という)と、福島復興再生特別措置法(以下「福島再生法」という)に集約されているといえます。これらの法律と既存の制度との関係性については、復興特区法が既存法や補助制度の特別法としての性格を持ち、福島再生法が復興特区法の特別法としての性格と、原子力災害の被災地としての特別措置を規定した法律としての性格を併せ持つものとみることができます。これらの法律に規定されている施策を政策手段に着目すると、次のように分類することができます。
 これらの政策手段は、東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所事故に起因する被害からの復興のためのものですが、他の大規模災害においても、個々の災害の内容に応じて応用できるオプションとしての性格を持つものと考えることができます。次節以下で、それぞれについて概観します。
 ① 国等による財政支援
 ② 官民による人材支援
 ③ 法的規制の緩和や手続の簡素化
 ④ 国家プロジェクトとしての取組み

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