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2021.04.12 議員活動

第7回 実施と議会

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7 政策実施における「つなげる連鎖」

 「第一線職員(直接市民に接しサービスを提供する職員)」である生活保護のケースワーカーを取り上げ、政策実施における「つなげる連鎖」について考えてみよう。生活保護業務を一人の若手職員ケースワーカーが担うことは容易ではない。20歳代前半の若手職員が、父母・祖父母の世代の人を相手にケースワーカーとして働くとき、判断に迷うことは少なくないであろう。そのようなとき、ケースワーカーは査察指導員(指導監督を行う所員(社会福祉法15条1項1号))の指導を受けることができる。査察指導員は福祉事務所に在籍する7人のケースワーカーにつき1人配置することが義務付けられている。ケースワーカーと査察指導員の関係は、実施主体(人や組織)間の連携・調整方法の一つである。また、このことは、指導を受ける、指導をするという「今時点でのつなげる人・組織・仕組み」であると同時に、「将来にわたってのつなげる人・組織・仕組み」であるといえる。査察指導員は、若い頃にケースワーカーの経験を積んだ者が就く。査察指導員からケースワーカーへの指導は、「今時点でのつなげる人・組織・仕組み」であると同時に、「将来にわたってのつなげる人・組織・仕組み」であるといえる。
 このことは、議会事務局職員における人事にも当てはまる。議会事務局職員は、一般的には自治体政府の行政職員として採用される。そして、あるとき人事異動で行政職員から議会事務局職員になる。そして通常は、次の人事異動で議会事務局職員から行政職員に戻る。中には2度3度と議会事務局職員として戻ってくる職員もいる(3)。議会事務局職員に焦点を当てれば、ベテランの議会事務局職員と若手の議会事務局職員の関係は、「今時点での(議会ないし議会事務局を)つなげる人たち」で成り立っていると同時に、「将来にわたっての(議会ないし議会事務局を)つなげる人たち」であるといえる。
 また、「出向人事」で、基礎自治体の議会事務局職員を相互に派遣し、お互いに議会運営・議会事務局活動について学ぶことを模索してもよいのではないか。さらに、広域自治体の議会事務局に職員を派遣したり、全国市議会議長会や全国町村議会議長会への派遣も、数は絞られるであろうが派遣先・派遣元の双方にとってメリットがあると思われる。例えば、全国の自治体議会にアンケート調査をする場合、前段でのサンプル調査への協力を得やすい。「同じ釜の飯を食べた仲間」の間には、太いパイプが生まれる可能性が高まる。「同じ釜の飯を食べた仲間」の間では、問い合わせたこと以外にも問題を指摘してもらえることがある。ここにも「つなげる人・組織・仕組み」が機能する。
 なお、職場外研修の実施主体については、議長会、市町村職員中央研修所(市町村アカデミー)、全国市町村国際文化研修所(国際文化アカデミー)、法人がある。金井利之は、専門性が研修で身に付くかどうかに関しては、いろいろな議論があるとした上で、仕事をしながら身に付けるというOJT重視の立場からすると、職員の職場外研修への期待は薄いとの議論を展開している(金井 2019:282)。しかしながら、OJTは重視されるものではあろうが、上記の職場外研修に参加する職員のモチベーション向上効果、職場外研修前後における職場外研修とOJTとの相乗効果、研修後における職場外研修参加者同士の政策参照等における連携効果と、議会事務局職員の職場外研修への期待は高いともいえる。

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