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2021.04.12 議員活動

第7回 実施と議会

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3 議会における「政策デリバリー機能」と「政策管理機能」

 行政の実施過程においては、「政策デリバリー機能」と「政策管理機能」の二つが指摘されている。政策デリバリー機能とは政策や行政サービスを市民に提供する機能であり、政策管理機能とは政策を実施する機関を管理する機能である(秋吉 2017:141-142)。議会においても、表2のように政策デリバリー機能と政策管理機能が存在するであろう。議会は政策デリバリー機能を発揮することにより政策管理機能をより適正なものとすることができると同時に、政策管理機能を発揮することにより政策デリバリー機能をより適正なものとすることができる。両者は「正の相関関係」にある。
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出典:筆者作成
表2 議会における「政策デリバリー機能」と「政策管理機能」

4 実施過程における二つの広がり:「民営化」と「委託」

 福祉国家の定着、民間部門の発展、市民社会の盛り上がりなど日本における様々な環境の変化は、公共政策における非政府政策(民間企業、NPO、市民などが実施する公共政策)の増大をもたらした(1)。このことは、一つには公共政策の主体としての民間企業やNPOが増えたことを表す。これを「民営化」という。いま一つは、公共政策の主体は自治体政府のままであるが、自治体政府から「委託」を受けた民間企業やNPOが増えていることを表す。
 自治体政府は、地方分権の取組み、災害対応などによる需要の高まりや国による地方行革の促進もあり、政策の実施が直営から委託へとその比重を変えてきた。政策実施の主体は自治体政府であるが、実際には民間企業やNPOなどの非政府組織が委託を受けて政策の実施を行うことが多くなった。このことは、自治体政府における公共政策は、前節で述べた政策管理機能に重点が置かれ、政策デリバリー機能は民間部門への委託に肩代わりしていることを表している。議会においても、会議録作成については民間企業に委託している場合も少なくないであろう。このように、自治体政府における政策の実施においては民間部門の果たす役割は一層増加している。
 ただし、委託を行うに当たっては、事前にその是非を問うことが求められている。非常時における委託元・委託先の関係については、指揮命令系統が確保されていることの確認が求められる。また、民間企業の撤退など、委託先がなくなった(なくなることになる)場合の対応をどうするかということの検討も必要である。もちろん、委託することでのメリットを確認しておくことも求められる。そこには、コスト削減よりも、むしろ委託によりサービスがどのように向上するかというメリットの確認が必要である。藤井誠一郎がいうように、委託により、何が得られ何が失われるのか、その点をしっかりと把握して議論を深めていくこと(藤井 2020:166)が議員にも求められている。

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