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2021.04.12 議員活動

第7回 実施と議会

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元・大和大学政治経済学部教授 田中富雄

1 議会は行政による政策実施をも制御する

 今回は、自治体政府の政策過程(課題抽出、選択肢作成、決定、実施、評価)における実施と議会について考えてみよう。自治体議会において政策(条例や予算など)が決定されると、次の段階として行政により政策が実施される。では、政策実施について、議会は行政をどのように制御することができるのであろうか。
 一つは、実施過程における市民参加の確保を予算審議の際に確約をとり、その進行管理を行うことで、議会が行政を制御する方法がある。二つ目は、職員の人事異動に伴う政策のブレを修正することで議会が行政を制御する方法である。行政内部の政策決定(政策案決定)と実施の間には時間差が生じる。また、職員には人事異動があるため政策課題について前任者が市民参加や関係者協議を経て選択肢作成などを行い、後任者が政策を実施する場合もある。この場合、後任者が前任者の意向(政策内容)を引き継いでいるとは限らない。後任者は、当該政策の実施に無関心であるかもしれない。そこには政策の継続性をいかに確保するかが問われてくる。決定をした議会には、一般質問や委員会所管事務調査を通じて行政の継続性を確保し、行政を制御することが求められてくる(議会の議決責任としての行政制御)。
 なお、議会も4年に一度選挙により議員が入れ替わる。当選後の早い段階で、議会のあり方や政策内容等について新旧議員が相互に学習することにより、議会や政策の市民のための継続性が築かれていくことを忘れてはならない。もちろん、そこには新奇性を伴うことが必要な場合もあろう。

2 実施に必要な議会関係の条例・規則等

 決定された政策(条例など)を実施するには、その詳細を定めた規則・規程等を定めることも多い。また、現場の担当職員に対しては実施のための具体的なマニュアルとして「実施要領」が作成されることもある。表1は、議会に関わる代表的な条例・規則等の例であるが、このような条例・規則等は、常に見直しを行い、関係者に周知し、情報の共有を図っておくことが必要である。そうすることにより、議会の存立構造の視点から議会運営の謬(びゅう)や政策過程の謬を発見することにもつながる。
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出典:大津市例規集を参考に筆者作成
表1 自治体議会に必要な条例・規則等の例

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