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2021.03.25 議員活動

第11回 特殊な災害等への自治体の対応

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2 福島第一原発事故の概要(2)
 福島第一原発は、福島県双葉郡大熊町と双葉町にまたがって設置され、大震災の当時は、1~6号機の6基の原子炉が設置され、1~3号機までが運転中、4~6号機が定期検査中でしたが、結果的に1~4号機が放射性物質を原子炉外に放出する事故が起きました。
 ここでは、時系列的に事故の状況と現状について概説します。

(1)1~3号機の運転停止
 2011年3月11日に起きた大震災の直後、当時運転中の1~3号機は、制御棒を原子炉内に挿入することにより、核分裂を抑え、原子炉を止めること自体には成功しました。地震そのものへの対応としては、この時点では、特に問題は生じていませんでした。

(2)津波による外部電源の喪失と放射性物質の漏出
 原子炉が停止状態になっても、炉内の核燃料は発熱し続けるので、核分裂反応を起こさないよう水で冷却し続ける必要があります。しかし、地震と津波により、全電源が失われたため、原子炉内の核燃料を冷却し続けることができなくなりました。
 このため、燃料棒は発熱し続け、原子炉内では水位が下がり、通常は水に覆われているはずの燃料棒が、むき出しの状態で非常に高温になりました。燃料棒はジルコニウムという金属の合金で覆われていますが、ジルコニウムは非常に高温になると、周囲の水蒸気(水)と反応して水素が発生します。このような経過により、原子炉内に水素が充満し、1号機、3号機が相前後して水素爆発を起こして原子炉建屋が損傷し、内部の放射性物質が大気中に放出されてしまいました。定期検査のため停止中であった4号機も、隣接する3号機から水素が流入して爆発したとされています。また、2号機は、隣接する1号機の水素爆発の影響で、原子炉を格納する建屋上部側面のパネルが開いて水素が放出されたことにより爆発は免れたものの、パネルの開放部分から大気中に放射性物質が放出されてしまいました。この1~4号機の放射性物質の放出が、広範囲な被害の直接的原因でした。
 なお、水素爆発等の事故を免れた5号機、6号機については、1~4号機に比較して高地に設置されており、一部の電源設備が被害を受けなかったこともあり、かろうじて放射性物質の漏出は免れました。

(3)その後の状況
 事故を起こした原子炉については、その後も外部からの注水などによる冷却が行われ、2011年12月に冷温停止状態となり、コントロール可能な状況になりました。これ以降、がれきや残った燃料棒の撤去作業が行われており、最も困難とされる高温で溶け落ちた核燃料(デブリ)の撤去に向けた作業も行われています。廃炉については、東京電力のロードマップによると、作業の終了は30~40年後とされています。
 また、これら原発事故に伴う技術的課題のほかに、発生する汚染水が増え続けていることによる「汚染水問題」や、広範な地域を汚染したことにより発生した除染土壌や廃棄物の処理、さらには全国に避難している被災者への対応、地元福島県浜通り地域の再生など、多くの課題が山積している状況にあります。
 

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