2021.03.25 議員活動
第11回 特殊な災害等への自治体の対応
(2)放射性物質の基準値等
放射性物質は土壌などにも微量ながら存在し、放射線は常に宇宙から地球に降り注いでいます。つまり、人体は常に外部被ばくをしています。放射能の健康への影響については、通常は毎時0.23マイクロシーベルト(μSv)、年間1ミリシーベルト(mSv)が一般公衆の被ばく限度とされていますが、CT検査などを受けたり飛行機などに長時間乗ることにより一定の被ばくをする可能性もあります。しかし、年間100ミリシーベルト未満であれば、がんの過剰な発生は確認されないとされています。
内部被ばくの原因とされる食品等の放射性セシウムの線量については、飲料水は1リットル当たり10ベクレル、一般食品は1キログラム当たり100ベクレルなどが基準値となっています。これらの基準値は、内閣府の食品安全委員会が行った食品の健康影響評価をもとに、厚生労働省が食品衛生法に基づき定めたもので、健康な一般人が一生受ける放射性物質の線量(預託線量(1))の健康への影響を考慮しているとされています。
出典:厚生労働省医薬食品局食品安全部「食品中の放射性物質の新たな基準値」(https://www.mhlw.go.jp/shinsai_jouhou/dl/leaflet_120329.pdf)
表 食品中の放射性物質の基準値
(3)放射線に関わる自治体の基本目標
上記のように、放射線については、様々な技術的な概念や基準値があり、理解が難しい点がありますが、自治体は、住民の健康を守る観点から、住民に対して「外部被ばくと内部被ばくをさせないこと」が基本目標となります。
このため、外部被ばくを避けるために、地域の空間線量が毎時0.23マイクロシーベルトを超える場所で住民が生活することがないようにします。そして、内部被ばくを避けるために、住民が摂取する食品等の種別ごとに決められた線量を超えるものが市場に流通しないようにすることが、極めて重要になります。
出典:岩手県「(パンフレット)放射能・放射線について理解を深めましょう」(https://www.pref.iwate.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/005/950/houshasen_24.pdf)
図2 日常生活での放射線の被ばく量