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2021.03.25 議員活動

第11回 特殊な災害等への自治体の対応

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関東学院大学法学部地域創生学科教授 津軽石昭彦

第11回(第21講、第22講)のポイント
1 原子力災害では、リスクに合わせた地域防災計画の策定により、住民の安全確保、放射性物質のモニタリング、情報公開、生活支援、リスクコミュニケーションを行うとともに、普段からの地域住民との信頼感の醸成が求められる。
2 感染症等による健康危機への対応においても、自然災害への自治体対応スキームと同様に、住民の安全確保、生活支援、地域経済の復興が求められる。
3 今後の新たなリスクにも備え、アフター・コロナの自治体の危機管理を広範に考える必要がある。

第21講 原子力災害への対応

 「原子力災害」とは、原子力発電所などの原子力施設の事故等に起因する放射性物質又は放射線の異常な放出により生じる被害を意味します。ここでは、発災後10年となる東日本大震災(以下「大震災」という)が引き起こした地震・津波により発生した東京電力福島第一原子力発電所(以下「福島第一原発」という)における事故、特に事故発生後の放射線影響対策を中心に、実際の原子力災害への自治体対応について考えます。

1 放射能等に関する基礎知識
 放射線影響対策を考えるに当たり、まず放射能等一般についての基礎的なことを述べます。福島第一原発の事故で、原発や放射能等に対する関心が国民の間に高まり、以前に比べて理解が進んではいますが、目に見えず、においもしない放射能・放射線については、一般には分かりにくい点が多々あります。ここでは、原子力災害が発生した場合の自治体の対応に必要な用語の意味や健康リスクについて、基礎的な知識の整理から始めます。

(1)放射能・放射線・放射性物質とは
 一般に、これらの用語は、様々なところで耳にしますが、それぞれどのような違いがあるのでしょうか。まず、「放射能」とは放射線を出す能力をいい、「放射線」とは放射性元素が崩壊する際に放出される主にアルファ線、ベータ線、ガンマ線などの粒子や電磁波などの総称で、一定量以上これらを浴びると生物に有害とされています。また、「放射性物質」とは放射線を出す放射性元素を含む物質を指します。
 「光」に例えると、光を出す「電球」などが「放射性物質」、光線が「放射線」、光源である電球などの明るさが「放射能」の強さを示すと考えると理解しやすいと思います。
 また、これらに関わる単位も様々なものが報道等で使われていますが、代表的には、放射能の強さを示すのが「ベクレル(Bq)」、放射線により人体等にどれだけの影響があるかを示すのが「シーベルト(Sv)」です。一般に、放射性物質を含む食品等を摂取することによる「内部被ばく」の度合いを示す際には、放射能の強さの単位である「ベクレル」が用いられ、皮膚を通して放射線を浴びる「外部被ばく」の度合いなどを示す際には、放射線の影響度の単位である「シーベルト」が用いられています。

Bousaihukkou_zu01出典:政府広報オンライン「ご存じですか?食品中の放射性物質の基準値は、子どもたちの安全に特に配慮して定められています」(https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201204/3.html)

図1 放射能・放射性物質・放射線の関係

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