2021.03.25 政策研究
【セミナーレポート】自治体DXと議会の役割
DXとは予測できる未来と予測できない未来に対応すること
「DXという概念はバズワード化してしまい、自分に関わりのあるものとして捉えづらくなってしまっている」という言葉から始まった3人目の登壇者、石塚清香氏(総務省地域情報化アドバイザー、自治体職員)の講演は「地に足のついたDXの進め方」というテーマで展開されました。
「私達の社会は日々複雑さを増し、将来の予測が非常に困難になっています。そのような環境の中で、予測できる未来に/予測できない未来に対応していくためにデータをどのように活用していくかの実践こそがDXです」との発言があり、今この時代にDXを取り入れることの重要性を認識させられました。
また、DXは「アジャイル」、すなわち小さな単位でトライ&エラーを繰り返すことが基本であり、中長期にわたる計画に沿って事業を進めることが基本となる行政とは文化的に大きな違いがあるとの指摘がありました。この両者の違いを認識し、うまくすり合わせられるかがDX導入の成否を分けることになるとのことです。
まとめ
最後に質疑応答の時間が設けられ、「議員として執行部に対してすぐに成果を求めたくなるのも分かるが、DXは(講演にあったように)アジャイルの考え方がベースにあるので、取組みに対しては失敗も成果の一つと捉え、温かい目で見てほしい」、「ITに精通した人材さえいればDXが推進できるわけではなく、組織体制の工夫やマネジメント人材の育成も重要」、「国からアドバイザーを派遣する制度があるので活用を検討するのもあり」等の発言がありました。
DXと聞くと、先進的な技術や難解な専門用語に目を奪われがちですが、研修会を取材して、DXの本質とはデジタル化にあるのではなく、業務をフラットな視点で見つめ直そうとする視座にあるのではないかと感じました。今後、議会と執行部が相互に連携することで、自治体におけるDXの取組みがさらにパワフルに推進されることを期待したいと思います。
多数の参加者がオンラインで聴講した(画像は参加者の一部)