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2021.03.25 議会改革

第18回 議員の懲罰等とそのあり方

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(4)懲罰等と国賠請求
 他方、懲罰や懲罰的措置が名誉毀損などに当たるとして対象とされた議員によって訴訟が提起されるケースも見られる。ちなみに、国家賠償請求の場合には、少なくとも訴えの「法律上の争訟」該当性が否定されることはない。
 この点、名張市議会賠償請求事件・最判平成31年2月14日民集73巻2号123頁は、市議会議員が、議員の視察旅行に際し市の財政状況等に照らしてこれを実施すべきでないとする旨を記載した欠席願いを提出し、視察旅行に参加しなかったところ、議会運営委員会が正当な理由なく公務に欠席したものとして厳重注意処分を行うことを決定し、議長が処分通知書を作成して新聞記者のいる議長室で朗読して当該議員に交付したことで、名誉を毀損されたとして市に損害賠償を請求した事案について、議会の議員に対する懲罰その他の措置が当該議員の私法上の権利利益を侵害することを理由とする国家賠償請求の当否を判断するに当たっては、当該措置が議会の内部規律の問題にとどまる限り、議会の自律的な判断を尊重し、これを前提として請求の当否を判断すべきとした上で、厳重注意処分は要綱に基づくもので特段の法的効力を有するものではなく、議長室での通知書の朗読・交付が殊更に当該議員の社会的評価を低下させるなどの態様、方法によって措置を公表したものとはいえず、その適否については議会の自律的な判断を尊重すべきであり、本件措置等は違法な公権力の行使に当たるとはいえないとした。法律によらない懲罰的措置は内部規律の問題とする一方、議長室での朗読・交付は市議会の措置とはいえないとの判断の下で懲罰的措置の公表方法によっては違法となる余地を認めたものともいえる。
 また、裁判所によって違法とされた懲罰に対し、名誉毀損などを理由に損害賠償請求をすることについて、除名処分が後に取消訴訟において取り消されたからといって、国家賠償法1条1項の適用において当然に違法性があると評価されるわけではなく、議会が明らかに除名事由がないにもかかわらず違法又は不当な目的をもってあえてその議員を除名したなどの特段の事情のない限り違法性があると判断されることはないとして請求を棄却した裁判例(岡山地判平成14年8月9日裁判所ウェブサイト)などもある。

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