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2021.03.10 議員活動

第6回 決定と議会

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14 結び

 政策決定とその正統化は、政策決定者に対して、他者に責任を転嫁するという逃げ道が「切り離される」ことを自覚されるためにも不可欠であるという議論がある(石橋 2018:144)。このことは、議会に、市民や行政に対する決定についての責任(議決責任)を負う自覚を求めている。議員には、市民や行政の持つ多様な価値を踏まえながら、自らの価値を高め整序することが求められている。厳しい状況下であっても、山を乗り越える議員、日々前進する議会もある。そういう議員・議会を応援できる私たちでありたいし、そういう私たちを応援する議員・議会であってほしい。そこには、議員の言説が大きな力を発揮しうることもあろう。言説が大きな力を発揮しうるには、証拠に基づく政策決定のための言説が求められる。どのような政策目的のための、どのような証拠なのかを、適正に見極めた議員の言説、そして決定に期待したい。

(1) ここでいう「二重のパブリックコメント手続」の二重とは、本論で述べたように計画の策定前のパブリックコメント手続(=「事前のパブリックコメント手続」)と計画の策定中におけるパブリックコメント手続(=「策定中のパブリックコメント手続」)の二重を意味している。計画の策定途中において、「特に重要な政策等の策定に当たって広く市民等の意見等を反映させる必要があると認めるものについては、構想又は検討の段階で、条例に準じた手続を行う」こととし、決定直前に行うパブリックコメント手続とで2回の手続を行う自治体も見られる(例えば、横須賀市市民パブリック・コメント手続条例)が、その場合とは異なる。

■参考文献
◇秋吉貴雄(2015a)「政策決定と制度」秋吉貴雄=伊藤修一郎=北山俊哉『公共政策学の基礎〈新版〉』168〜186頁
◇秋吉貴雄(2015b)「政策決定とアイディア」秋吉貴雄=伊藤修一郎=北山俊哉『公共政策学の基礎〈新版〉』187〜206頁
◇石橋章市朗(2018)「決定」石橋章市朗=佐野亘=土山希美枝=南島和久『公共政策学』ミネルヴァ書房、139〜161頁
◇北山俊哉(2015a)「規範的判断」秋吉貴雄=伊藤修一郎=北山俊哉『公共政策学の基礎〈新版〉』103〜125頁
◇北山俊哉(2015b)「政策決定と利益」秋吉貴雄=伊藤修一郎=北山俊哉『公共政策学の基礎〈新版〉』151〜167頁
◇佐野亘(2020)「話し合いにおける3つの合理性」村田和代編『これからの話し合いを考えよう』ひつじ書房
◇砂原庸介(2019)「『行革官僚』の成功と挫折」御厨貴編『オーラル・ヒストリーに何ができるか』岩波書店、209〜224頁
◇総務省(2020)「公共施設等総合管理計画策定取組状況等に関する調査(結果の概要)」
◇土山希美枝(2019)『質問力で高める議員力・議会力』中央文化社
◇内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局(2020)「地方版総合戦略の策定状況等に関する調査結果」

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