2021.03.10 議員活動
第6回 決定と議会
12 決定においても重要な「政策プロセスに関する知識」
議会の決定過程においても「政策プロセスに関する知識」が求められる。例えば、議会も、会派も、議員個人も、新年度の予算要望をすることがあろう。予算案がまとまるのは1月末という認識のもと、1月に入ってから予算要望をするのでは、要望内容を当初予算案に計上することは容易でない。基礎自治体の予算編成は9月末頃から本格的にスタートするが、その前の7月、8月の段階で翌年の新規政策、重要政策を議論する自治体も少なくない。ましてや、厳しい財政状況にある自治体である。
そうすると、当初予算案に計上することを働きかける要望書は、6月までに提出することが妥当ということになる。もちろん、6月以降の変化を踏まえた要望を9月頃に、必要があれば12月頃に、再度、再々度提出することは可能である。新年度の予算要望に関するスケジュールは、議会にも政策プロセスに関する知識が必要であることを示している。
13 決定と見直し・評価
ここでは、決定後における見直し・評価のための決定のありようについて考えてみよう。
一つは、決定が間違っていた場合の対応、環境が変わった場合の対応を、決定の時点で考えておくことが決定には求められている。政策モニターの設置、政策の定期的な評価・見直しの仕組みづくり、条例ではサンセット条例(期限立法)の活用などが考えられる。これらの取組みは、市民、議会、行政が政策を再考するきっかけともなる。
二つ目は、実施した後、評価できる能力を自治体政府内に確保しておくことが決定の際には求められている。ある業務を委託し続けていれば、委託元にはその委託内容を評価する能力を失う可能性が高まることに留意すべきである。コンピュータ関連業務における経費適正化の難しさは、その証左である。委託元には委託先を評価する何らかの方策が必要となろう。そこには、議会の知恵も求められる。