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2021.02.10

「未来カルテ」を活用した自治体施策の構築

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長期的な未来は予測できるか

 2040年や2050年までの長期的な未来を予測することができるのかと思われる方もいるだろう。技術開発の動向、市場の反応、嗜好(しこう)変化など、予測のつかないものは多い。しかしながら、先に述べた資本基盤については、物理的な実体を有するものであるがゆえに、ある程度、長期的な姿を見通すことができる。
 ここで、資本基盤について少し解説しておこう。資本基盤とは、有用性を与えることができるメカニズムを備えた存在であり、有用性を与えた後にもなくならないものである。一方、何らかの有用性を与えた後に物理的に変化してなくなってしまうものを、通過資源と呼ぶ。例えば、ハンバーグ定食を提供する際に使われる資本基盤としてはフライパンやコックさんを挙げることができ、通過資源としてはひき肉などの食材やガスのエネルギーを挙げることができる。農地は資本基盤であり、農作物は通過資源である。
 ある社会で、いつつくられた(生まれた)資本基盤がどのくらい存在しているのかは、既存統計で把握することができる。例えば、人口と年齢構成、建築物の量とそれぞれの建築時期は把握できる。そして、このままの傾向で推移すれば、2040年や2050年にどのような状態になっているかを推測することができる。つまり、「何もしない場合の未来」を推測することはできる。これは、当てるための予測ではなく、気づきのための予測である。
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気づきのための予測としての「未来カルテ」

 千葉大学倉阪研究室においては、全自治体について、何もしない場合の未来の姿を視覚化する「未来カルテ発行プログラム」を公開している。これは、国立社会保障・人口問題研究所(社人研)の自治体別人口予測をベースとしつつ、直近の統計データから様々な原単位を固定的に取り扱って、2050年の産業別就業者人口数、保育・教育対象となる子どもの数、患者数、要介護者数、教員数、医師数、介護従事者数などを予測するものである。例えば、ある自治体の2050年の就業者人口は、その自治体の2015年の男女5歳区分別の就業者比率を、社人研の人口予測を延長して得られる2050年の男女5歳区分別の人口に当てはめて推計する。つまり、定年も女性の社会進出の状況も今のまま推移した未来である。
 このような考え方で推計プログラムを作成し、全自治体に同じ計算式を適用して得られた結果をグラフ化するのが「未来カルテ発行プログラム」となる。このプログラムは、科学技術振興機構の研究開発プロジェクト「多世代参加型ストックマネジメント手法の普及を通じた地方自治体での持続可能性の確保」(2014-2019:研究代表者・倉阪秀史)で開発された。
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