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2021.02.10 議員活動

第5回 選択肢作成と議会

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2 政策手法・政策手段と議会

 選択肢作成には、表1に示した将来予測の手法や表2に示した予測の幅を持たせる手法を活用すること、そして表3に示すような様々な手段を活用することが求められる。これらの手法・手段は組み合わせて使用することが効果的である。議会には様々な政策手法・政策手段を組み合わせて選択肢の作成を行い、その上で選択肢の優先順位を検討することが求められている。このことは、議会提案の政策だけではなく、行政提案の政策について議会が議論する際にも必要となる。議会には、行政提案の政策について、エビデンスの公開を求めることなどそのような議論が可能となるよう行政を制御することが求められる。
 また、佐野亘が述べるように、政策手段には、それぞれに特徴がある。手間がかかる、コストがかかる、人々の権利を制限するなど効果はあるが問題のある手段から、手間・コストも多くはかからず人々の権利も制限しないが効果は明確でない手段まで、手段により手間・コスト・権利の制限などが異なることになる(佐野 2018:239-250)。また、手段によっては心理的手法や物理的手法に分類される手段の一部のように、倫理的・道義的な問題があると指摘されるものもある(佐野 2018:249-250)。このようなことから、政策手段の選択には慎重な判断を必要とする。
講義5-4
 佐野は、どの政策手段を選択すべきかについて、四つの留意点を挙げている。第1に、そもそも適切な手段を選択するために必要な(広い意味での)「資源」を有するか否かが重要であること。第2に、手段が価値性を帯びることもあり、その結果、目的実現にとって最適な手段であっても採用されないことがありうること。第3に、仮に適切な手段であっても、強い反対がある場合、採用することは難しいこと。第4に、すでに採用されている手段が存在する状況において、全く新しい手段を採用することは実際には難しく、従来から存在する手段の拡張や修正によって対応がなされることが少なくないこと。また、新しい手段を採用することは、行政の縦割りなど、制度的状況によって難しいこともありえることである(佐野 2018:258-259)。
 それでは、このような制約条件ともいえる留意点がある中で、自治体政府はどのような選択肢作成を行ったらよいのだろうか。そのためには、選択肢の一つに制約条件が全くない(極力少ない)ことを前提とした選択肢も加え検討することである。制約条件がない(極力少ない)選択肢と制約条件がある選択肢との比較により、たとえ理想でない選択肢に決定する場合であっても、決定された政策の問題点が明確化され、それを補う「サポートポリシー(相反性(一方が上がると、他方が下がること)におけるマイナス効果を削減するためのポリシーミックス(次節参照))」を明らかにすることができる。また、理想の選択肢を改めて知ることは、広く選択肢を作成する関係者にとっても学習の機会となる。

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