2021.01.29 議員活動
第9回 被災地のまちづくりを支援する仕組み
第18講 復興まちづくりへの住民参加
大規模災害の被災地では、被害があまりにも大きく、事実上、まちをつくり替えなければならない場合があります。被災地の復興のまちづくりは、その自治体の地域政策の側面と、実際の事業としての側面があり、後者は、例えば土地区画整理事業などの場合、法律に定められた手続に沿って、住民への説明や意見聴取などが行われます。ここでは、前者の地域政策としての側面に着目して考えてみたいと思います。
1 被災地のまちづくり、復興計画、総合計画の関係性
地域政策としてのまちづくりのプランニングの手続については、特に定められたものはなく、通常は、連載第6回でも取り上げた「復興計画」の策定プロセスの中で検討されます。
まちづくりは、土地利用、都市計画、道路整備、公共施設整備などに直結する点では、住民に身近な基礎自治体である市町村の復興計画への住民参加は特に重要です。
地域政策としての被災地のまちづくりを考えると、災害が大規模化し、エリア的にも被災者数的にも広範囲に被害が及ぶ場合、まちづくりに関わる政策も、自治体の「復興計画」としてソフト・ハードの広い分野にわたる、自治体政策全般に及ぶ内容になります。すなわち、「復興計画の総合計画化」という状況になります。
被災自治体において、復興計画と総合計画の関係については、東日本大震災と熊本地震以後では、多少、位置付けが異なってきています(8)。東日本大震災においては、岩手、宮城、福島の各県においても、総合計画とは別体系で復興計画が策定されましたが、その後に総合計画の見直しを行い、上位計画の総合計画が、下位計画の復興計画の内容を包含する形で調整を図っています。
東日本大震災では、東日本大震災復興基本法3条による国の復興基本方針において、自治体が復興計画を定めることが明記され、復興特区制度や復興交付金などの対象が、復興計画への掲載事業であることを条件とされたことなどが、こうしたことの背景にあるものと思われます。
一方、熊本地震においては、熊本県や熊本市、益城町の復興計画と総合計画について、筆者が2018年12月に自治体に対しヒアリングしたところでは、当初から復興計画は総合計画の一部又は部門別計画であるとの説明があり、一応の整理が行われています。