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2021.01.29 議員活動

第9回 被災地のまちづくりを支援する仕組み

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関東学院大学法学部地域創生学科教授 津軽石昭彦

第9回(第17講、第18講)のポイント
1 大規模災害の被災地の復興では、ハードだけではなくソフトも含めた「多重防災型まちづくり」を志向することが大切である。
2 「多重防災型まちづくり」のソフト施策では、コミュニティ防災だけではなく、土地利用計画や都市計画など、自治体は法的権限を有効に活用するスキルも求められる。
3 大規模災害からの復興計画は、事実上、総合計画化していくこととなり、復興の迅速化ニーズとの調和を図りながら、議会、有識者、住民などの参画を得ることが求められる。

第17講 多重防災型の新しいまちづくり

 大規模災害の被災地では、東日本大震災にみられるように、まち全体が失われる場合があります。また、まち全体とまでいかなくとも、近年の土砂災害や水害などでは、地区全体が壊滅的な被害を受けることがよくみられます。そのような場合に、まちと住民を守るため、単に災害前のまちの形そのままに戻すのではなく、新たな災害リスクにも対応できる新しいまちづくりが求められます。ここでは、被災後の新しいまちづくりのプロセスについて考えます。

1 新しいまちづくりの設計思想
 連載第7回でも紹介したように、東日本大震災では、それまでの想定をはるかに上回る津波が被災地を襲い、ハードの施設整備だけでは人命を守ることは難しいことが明らかになりました。
 そこで、東日本大震災の被災地のまちづくりにおいては、「多重防災型のまちづくり」を基本としてまちづくりを進めています。「多重防災型のまちづくり」については、連載第7回でも解説しましたが、あらゆる災害を完全に防ぐことが事実上難しいことを前提として、被害を最小限にとどめるための「減災」という発想のもとに、堤防や防潮堤などの施設の整備を中心としたハードの施策と、住民に対する防災教育や自主防災組織の育成などを中心としたソフトの施策を複合的に組み合わせることにより、被害を最小限にとどめようとする考え方です。
 「多重防災型まちづくり」の考え方は東日本大震災のみならず、他の大規模災害の被災地や、災害の有無にかかわらず既存のまちづくりでも、様々な形で取り入れられており、今や、すべてのまちづくりの基本的な設計思想の一つとして位置付けられるべきものです。
 

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