2021.01.15 議員活動
自治体法務検定演習問題を解いてみよう(その29)
正解及び解説
■基本法務
〔正解〕②
〔解説〕この問題は、民法の事務管理分野からの出題である。事務管理の効果として違法性が阻却されるため、①は妥当である。事務管理の成立要件は、他人の事務の管理を始めたこと、他人のため、すなわち他人に利益を与える意思があること、法律上の義務がないことに加えて、本人の意思や利益に反しないことの4 つの要件であるため、②は妥当でない。事務管理の効果として、管理者が負う義務は委任と同様の善管注意義務とされているため、③は妥当である。事務管理者は、本人のために支出した「有益な費用」を本人に請求できるため(民法702条1 項)、④は妥当である。したがって、正解は②である。(基本法務テキスト358~359頁)
■政策法務
〔正解〕②
〔解説〕①は妥当である。なお、住民訴訟の提起に当たっては、住民監査請求を前置する必要がある。②は妥当でない。4 号訴訟は2002年の地方自治法改正で大きく変化し、執行機関等を被告として、長、職員、相手方等への損害賠償等の請求を行うことを求める義務付け訴訟に再構成された。③は妥当である。2006年度の地方自治法改正により、自治体の実情に応じて監査機能の充実を図る視点から、監査委員の定数を条例で増加することができるようになった。④は妥当である。損害賠償請求権の放棄は、住民訴訟制度を形骸化させるおそれがあるため、2017年の地方自治法改正において、自治体の長等の損害賠償責任に関する見直しが行われた。(政策法務テキスト174~175頁)