2021.01.15 議員活動
第4回 課題抽出と議会
8 因果関係(要因間の関連性)分析
問題要因が探究されると、次に因果関係(要因間の関連性)分析が行われ、要因間の関連が示される。原因と結果は、図6のように表されるが、その関係については次の3点に留意することが求められている。一つは、共変(相関)関係があること。二つ目は、原因と思われる事象が結果と思われる事象よりも先行していること。三つ目は、原因と思われる変数と結果と思われる変数の双方に影響を及ぼすような変数がないことである。この3点がそろっていないと原因と結果としては、言い表せない。
因果関係(要因間の関連性)分析においては、フィードバック・ループ(フィードバックを繰り返すことで、結果が増幅されていくこと)の存在に留意することが必要である。そのうち、政策問題において注意しなければならないのは、悪循環となるループである(図7参照)。悪循環となるループを好循環に転換するには、バス網整備計画の策定、鉄道駅などへのバス拠点整備、小型バス導入など一時的に大きな資源投入をすることが必要なこともある。また、タクシー事業者や個人ボランティア運転手(有償)といった異業種等との連携方策も考えられる。
9 調査と委託
行政は、あらゆる政策過程(課題抽出、選択肢作成、決定、実施、評価)の段階で調査を委託する場合がある。この場合、表5に示すように、委託するには二つの理由が考えられる。一つは、人員が足りていないため調査を自ら行うことができない場合である。もう一つは、調査を自ら行うノウハウがない場合である。この場合、財源と委託先(受託者)の両方がある(存在する)ことが前提となる。一方、委託しない理由は、一つは、自ら行う人員が足りている場合かつ調査を自ら行うノウハウを保有している場合である。もう一つは、人員又はノウハウが不足していても財源と委託先(受託者)の一方、又は両方がない(不存在である)場合である。
また、調査の委託については表6に示したように、委託した場合と委託しなかった場合でメリットとデメリットがあるが、安易な丸投げは避けたい。委託する場合、委託する側に知識・ノウハウがない場合には、内容について知識・ノウハウを吸収できることが委託の必要条件となろう。このことなくして、「情報の非対称性」を超克することはできない。「情報の非対称性」をそのままにしては、委託内容の適正な評価もできないことになる。議会も自前の調査を行うと、議会力・議員力の向上に役立つ。新たな気づきも多いであろう。