2020.12.25 議会改革
第15回 住民と対話する
(3)意見交換会・政策討論会
議会報告会については、意見交換を行うところも少なくなく、意見交換会や政策討論会などに名称を変え、これらをうまく活用しているところもある。市議会における議会報告会の実施状況については、2で紹介したが、議会報告会を開催した市議会のうちその主な内容が報告のみのものが0.9%、意見交換のみが13.1%、報告及び意見交換が83.4%、その他が8.4%となっており、意見交換会へと進化してきていることがうかがえる。議会が、外に出て住民がより参加しやすい形で直接対話する機会をもつとともに、それを審議や政策に活かしていくことが重要である。
例えば、会津若松市議会では、政策討論会により、市民意見を起点とした政策サイクルづくりに取り組んできている。そこでは、市民との意見交換会が政策形成サイクルの起点に位置付けられ、市民の意見の中から課題設定、テーマの調査研究、条例の制定・議案の修正・政策提言としての立案、政策執行による効果の説明・報告といった回路が想定されており、選挙後の意見交換会でテーマを設定し、4年間のサイクルをイメージした運用を行っているという。また、飯田市議会では、議会報告会で決算審査の報告を行い、そこで出された意見を、次年度の予算審議や行政評価に活用しているほか、常任委員会ごとに分野別意見交換会を行っている議会もある。
住民が参加し意見を述べやすくする工夫をしたり、環境を整備することも大事であり、対面式から、ワークショップ方式、さらにはワールドカフェ方式を取り入れて実施してきているところもある。ワークショップは、作業場や仕事場を意味する言葉だが、参加者が自発的・主体的に作業や発言を行える環境が整った場において、ファシリテーターと呼ばれる司会進行役を中心として、参加者全員が体験する形で運営される方式を指すようになっており、また、ワールドカフェは、参加者の意見や知識を集め、気付きや創造的な意見を得ることなどを目的として、カフェのようなリラックスした雰囲気の中で、参加者が話し合いたいテーマについて、少人数に分かれたテーブルで自由に意見を出し合うとともに、他のテーブルとメンバーをシャッフルして対話を続けるなどの対話手法を指すものとして用いられている。
このように様々な試みが行われるようになっているが、その場合には、開催目的を明確にすること、一方的に説明するのではなく対話を重視すること、議員がファシリテーション技術を学ぶこと、継続のためには何が大事かを考えることなども必要だろう。
このほか、議会が住民相談会を開く例もあり、定期的に住民相談の日を設けたり、住民が集まりやすいまちなかで交流の場を設ける議会もある。住民が議会に相談しやすい状況をつくることは、住民との距離を縮める上で有効なものとなりうる。