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2020.12.25 議会改革

第15回 住民と対話する

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2 住民に対する情報の公開

 住民自治を展開していくためには、住民に対して必要な情報が提供されなければ始まらない。住民は選挙のときだけ主人公というわけではない。
 議会における情報公開は、何といっても審議の公開である(審議公開の原則の意義・内容については本連載第8回参照)。この点、本会議については、地方自治法で公開原則が規定されているが、会議録については住民が読むことができるようにはしていない議会がいまだに存在し(2)、委員会についてはいまだに非公開としたり、委員会議録を公表していないところが少なくない(3)。会議録については、インターネットで公開しているところも増えてきているが、会議録検索システムを導入しているところは、市議会で、本会議が84.8%、委員会が42.1%、協議等の場を設置している場合の協議等の場が12.6%となっている(平成30年市議会実態調査)。そのほか、議会中継を導入する議会も増えてきてはいる。
 議会の審議においては、住民に対して争点を明示すること、多様な住民の意見を審議の場にのせること、住民に対して説得的な議論を展開し住民の納得等を調達することなどが求められるのであり、そのために審議の公開が必須となる。
 委員会の非公開については、実質的な議論の確保といったことが理由とされることもあるが、審議の実態を考慮するならば方便にすぎず、委員会の非公開はその議会の閉鎖性の現れといわれても仕方がない場合が少なくないように見える。
 議案や、議案審議の予定・状況・概要に関する情報も、インターネットなどを通じて、住民に対し適時適切に提供するようにしていくべきだろう。
 また、議会が有する情報について、議会が自治体の情報公開条例の実施機関となっているほか、議会として独自の情報公開制度を整備しているところもある(4)。議会保有文書の情報公開も定着してきているといえるものの、実際の運用においては恣意的な対応など問題点を指摘されるケースも散見される。
 他方で、議会が積極的に住民に対して情報発信をするようになっているのも確かだ。インターネットでの議会の情報提供は、その内容の充実度には開きがあるものの、既に自治体議会の標準装備となっているといえるだろう。議会報告会の開催についても同様であり、例えば、平成30年市議会実態調査によれば、2018年中に議会報告会を開催した議会は、議会基本条例に基づくものが47.9%、申合せ等に基づくものが7.6%となっており、また、65回町村議会実態調査によれば、2018年中に住民懇談会・議会報告会を実施した町村議会は41.4%となっている。しかも、議会報告会では、後述のように、単なる報告ではなく、意見交換も行うようになっている。住民への説明責任を果たし、住民の目が議会に向けられる状況をつくり出していくことが大事である。

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