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特集 介護とICT

2020.12.25 ICT活用・DX

介護のICT化におけるメリットと導入事例

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3 データ連携とオンラインサービスで利便性向上

 デンマークのヘルスケアは、国、地域Region、市町村Kommune、ヘルスケアプロバイダーの四つのプレーヤーで構成されています。国レベルでは、関連する法律が整備され、地域Regionレベルでは、二次医療を行う病院を管轄しています。一番小さな行政区である市町村Kommuneは、一次医療(救急を含む)、リハビリ、高齢者介護、心身障害者ケアを管轄しています。国民は、約3,500人いる家庭医GPの中からかかりつけ医となる医師を登録し、専門医療が必要な場合は、かかりつけ医から病院を紹介してもらうという形をとっています。医療、介護、出産等は税金で提供されており、国民は一部を除き無料でサービスを受けられる反面、高い税金を納める高福祉高負担な社会となっています。
 医療記録に関しては、1977年より個人医療記録NPRが開始され、電子化された個人医療情報が蓄積されています。1994年には、国、自治体等によりMedComという組織が設立され、専門家間における医療データの電子的な交換も可能です。
 2003年には、医療の専門家と患者の双方が利用できるヘルスケアポータル「sundhed.dk」(デンマーク語で健康の意味)が立ち上がり、自分自身のカルテ情報、診察の予約、検査結果の報告、処方医薬品の情報共有が行えるようになっています。このような行政のオンラインサービスは、ヘルスケアに限定されたものではありません。デンマーク政府は、市民ポータル「borger.dk」という、公共サービスの情報や手続を統合的に提供するサイトも構築しており、ヘルスケアポータル「sundhed.dk」だけでなく、公共部門全体で約2,000のオンラインセルフサービスが統合されています。このサイトから、デイケアの待機リストへの登録や、住所変更、各種手当申請、かかりつけ医GPの変更、納税申告書の提出などが簡単にできるようになっており、市民への高い利便性につながっています。

特集1-2

 強力にデジタル化を推進するデンマークですが、高齢者や障害者、情報技術に不慣れな人々を排除するのではなく、社会的包摂(Social Inclusion)の観点も忘れていません。デジタル化庁には、当事者の意見をくみ上げるための「社会的包摂部門」(3)が設置され、先述した市民ポータルでのオンライン申請が難しい人々は「デジタル委任状Digital fuldmagt」により家族、友人、施設のスタッフ、組織などの信頼できる人に代行してもらうことが可能です。もちろんオンラインサービスですので、遠隔地に住む息子や娘を代行者に設定することもでき、デジタル化と社会的包摂の両立を図っています。

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