6 まとめ
本稿のまとめとして、介護現場におけるICT導入・活用の成果を上げるために実施する職員研修のあり方を整理します。
介護現場におけるICT導入・活用のための職員研修においては、職員を現場責任者(事業所の管理者)と介護職員(現場スタッフ)等に分けて、それぞれの業務に応じた研修を行うことが重要です。
(1)研修講師と受講者
現場責任者向け研修では、研修講師はICT機器・ソフトウェア製品導入・活用責任者、研修受講者は現場責任者(事業所の管理者)とします。現場スタッフ向け研修では、研修講師は現場責任者(事業所の管理者)、研修受講者は現場責任者や現場スタッフとします。
(2)研修内容
各研修における研修内容は、導入するICT機器・ソフトウェアについて、①意義・目的、②主な変更点、③導入スケジュール、④ICT機器・ソフトウェア製品の運用方法(管理職が使う機能)について、⑤利用者・家族への説明方法、⑥運用上の情報セキュリティマネジメントについて、⑦運用上のリスクマネジメント等とし、受講者の階層・所属部署・担当業務に応じてレベル設定した上で、最新情報に基づく定期的な研修と訓練が求められます。
今日のICT環境は、第4次産業革命を背景に著しく進化する一方で、情報セキュリティ脅威被害が拡大を続けており、介護現場におけるICT導入・活用による生産性向上を安心かつ安全に行うためには、上記研修と訓練の重要性が高まっています。
■引用・参考文献
◇厚生労働省「社会保障審議会介護給付費分科会(第165回参考資料1)」(2018年11月)
◇ 厚生労働省老健局「介護施設等における生産性向上に資するパイロット事業(自治体向け手引き/業務改善の手引き)」(2019年)
◇熊本県「介護現場革新会議パイロット事業(熊本県版)【結果概要】」(2020年3月)
◇ 厚生労働省老健局振興課「居宅サービス事業所におけるICT機器・ソフトウェア導入に関する手引きVer.1.1」(2016年)
◇ 経済産業省「医療情報を取り扱う情報システム・サービスの提供事業者における安全管理ガイドライン」(2020年8月)
◇ 総務省「クラウドサービス事業者が医療情報を取り扱う際の安全管理に関するガイドライン〈第1版〉」(2018年7月)