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特集 介護とICT

2020.12.10 ICT活用・DX

介護現場におけるICT導入・活用の現状と課題

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特定非営利活動法人東京ITコーディネータ副理事長 小野瀬由一

1 はじめに

 厚生労働省「第7期介護保険事業計画」によると、全国の介護人材の需要は、2020年度末には約216万人、2025年度末には約245万人と推計され、2020年度末までに約26万人、2025年度末までに約55万人の介護人材を確保する必要があります。
 また、厚生労働省「職業安定業務統計(平成30年8月)」によると、全国平均の介護関係人材の有効求人倍率は3.97倍で全体平均の有効求人倍率1.46倍を大きく上回っています。また、都道府県別でこの比率が高いのは、東京都6.97倍、愛知県6.49倍、富山県5.19倍、奈良県5.19倍、大阪府5.01倍、岐阜県5.01倍であり、これらの都道府県では、介護関係人材の求人難が今後も続くものと予測されます(図1参照)。
 このため、国は、①介護職員の処遇改善、②多様な人材の確保・育成、③離職防止・定着促進・生産性向上、④介護職の魅力向上、⑤外国人材の受入れ環境整備など総合的な介護人材確保対策に取り組んでいます。
 今回のテーマである、介護現場におけるICT導入・活用は、上記の③離職防止・定着促進・生産性向上対策として有効であり、事業者の積極的な取組みが期待されています。
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(注)介護関連職種は、ホームヘルパー、介護支援専門員、介護福祉士等のこと。
出典:厚生労働省「社会保障審議会介護給付費分科会(第165回参考資料1)」(https://www.mhlw.go.jp/content/ 12601000/000406512.pdf〔2020年10月23日検索〕)

図1 介護関係職種の地域別有効求人倍率

2 介護現場の生産性向上における自治体の役割

 国は、平成30年度から介護現場の生産性向上のための「介護現場革新会議」を開始し、平成31年度(令和元年度)に全国各地でパイロット事業を実施した上で、「介護サービス事業(介護施設サービス分)における生産性向上に資するガイドライン」をとりまとめています。

(1)自治体主導の介護現場の生産性向上への取組みイメージ
 施設サービス分自治体向けガイドラインによると、自治体が主導する介護現場の生産性向上への取組みイメージは、地方版「介護現場革新会議」を開催し、各地域の介護施設・事業所を、引き続き、地域における介護現場の拠点として機能させるため、介護現場従事者、利用者、利用者の家族のみならず、地域との間でも、より厚い信頼関係を構築するために取り組むとしています。この会議において、常日頃から顔が見える関係づくりを行うことによって、それぞれの関係者が実施している内容の共有が進み、共通の目標設定を行うことも可能となり、地域内での新たな連携の可能性を探ることも期待されています(図2参照)。

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出典: 厚生労働省老健局「介護施設等における生産性向上に資するパイロット事業(自治体向け手引き/業務改善の手引き)」(https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000679152.pdf〔2020年10月23日検索〕)

図2 自治体主導の介護現場革新の取組みイメージ

 

(2)自治体主導の介護現場の生産性向上のための検討事項
 国の「介護現場革新会議(平成31年3月)」では、基本方針として、①人手不足の中でも介護サービスの質の維持・向上を実現するマネジメントモデルの構築(介護現場における業務の洗い出し・仕分け、元気高齢者の活躍)、②ロボット・センサー・ICTの活用、③介護業界のイメージ改善等が示されています。
 また、自治体主導の「介護現場革新会議」では、①メンバーは、先行的な取組みをしている施設や有識者、介護関係者だけでなく、医療関係者や雇用関係者、学校関係者、大学等の学術機関など幅広い関係者で構成する。②地域の現状を関係者で把握し、地域の介護現場の課題を共有する。その課題に対して、地域資源を生かしてどういったアプローチができるかを検討し、各主体が実施している事業や取組みを共有し、新たな連携の可能性を探りつつ、地域の課題に対する対応方針を策定する。③現役世代の減少など人口構造や社会環境の変化に対応し、介護施設が地域での役割を継続的に果たすため、介護ロボット・ICTの導入など業務効率化の推進並びに介護の担い手である職員の人材確保・定着支援を車の両輪として積極的に取り組む必要があるとしています。

 

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