2020.12.10 議員活動
第3回 情報共有・市民参加と議会
8 情報共有・市民参加に求められる多元・重層・連続性と分かりやすさ
繰り返すが、どの情報共有・市民参加の仕組みにも一長一短があるとすれば、多様な主体が情報共有・市民参加の仕組みを幾重にも連続して実施することで、個々の仕組みが持つ欠点を超克することが考えられる。その仕組みづくりが行政や議会の情報共有・市民参加の取組みが適切であったかを議会が評価する仕組みづくりの柱となる。四日市市議会のように首長提出議案について、市民の意見を募集する例も見られる。参考になるであろう。
なお、連続性を持ちながら情報共有・市民参加の仕組みを運用実践する場合、政策内容を熟考する一定の期間を確保することが大切である。ただし、あまりに期間が空きすぎては、参加者が論点・争点を忘れてしまうことも考えられる。
また、これらの仕組みは、分かりやすくなければならない。例えば、パブリックコメント手続では、ただ案件を示すのではなく、分かりやすい概要、背景、議論の経過、市民への影響、関連施策など、市民が案件を理解し意見を出しやすい情報を併せて示すことが求められる。
9 「適切な情報共有・市民参加がある状態」を知るために
情報共有や市民参加の場があっても、市民が知らなかったり、知っていても参加できない場合もある。では、「適切な情報共有・市民参加がある状態」とは、どのような状態を指すのだろうか。それは、「適切な情報共有・市民参加」を必要としている人に、必要な情報が、必要なときに、必要な場所で、必要な手法で入手できる状態を指しているといえる。
情報の必要な人には、コストも必要になる。市民参加についても同じことがいえる。情報を入手したり参加するためには、仕事を休んで時間を確保したり、会場まで移動する経費が必要となる。そこでは、様々なコストを考慮することが求められる。
このため、「適切な情報共有・市民参加がある状態」をつくるには、いつ、どこで、誰が、何について、どのような媒体で、どの程度の情報や参加の場を必要としているのかについて、利害関係者や広く市民の意向を把握しておく必要がある。