2020.11.25 政策研究
第8回 補完性(その3)
東京大学大学院法学政治学研究科/公共政策大学院教授 金井利之
補完性の原理(principle of subsidiarity)の輸入
戦後日本における補完機能の議論や、シャウプ勧告における市町村優先の原則などとは全く別の文脈で、補完性の原理がヨーロッパで提唱され、1990年代以降、日本にも輸入されるようになってきた。起源も文脈も全く別なのであり、「subsidiarity」に「補完性」の訳語を当てるべきかどうかは重大な翻訳問題であるが、もともと戦後日本に存在してきた「補完」の概念に、新たな息吹を与える形で、訳語が選択されていったのであろう。
そして、それはあながち誤訳ではない。戦後日本で語られてきた補完機能が、都道府県優先でも市町村優先でも理解しうるものであり、また、国優先でも自治体優先でも理解しうるものであり、両義的であるのはすでに触れたところである。
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