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2020.11.25 議会改革

第14回 長とどう向き合うか

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5 長の不信任議決と議会の解散

 地方自治法は、それぞれ住民によって直接選挙される長と議会が独立し抑制しながら、その均衡と調和の上に自治行政が運営されることを期待しているが、この長と議会の均衡・調和が破綻した場合には、選挙を通じて住民の意思により解決するのが民主的といえる。このような前提に立って、議会には長の不信任議決の権能、これに対し長には議会の解散権が与えられている(地方自治法178条)。もっとも、この不信任議決と解散権は、首長制ではなく、議院内閣制に特徴的な仕組みであり、その運用のあり方いかんによっては両者の権力関係に大きな影響を及ぼすことになることから、地方自治法はこれを限定的に認めている。
 まず、議会は、長の不信任議決をすることが認められているが、その場合、議会が不信任議決を行う理由について特段の制限はないものの、議員数の3分の2以上の者が出席し、その4分の3以上の同意が必要とされており、そのハードルを高くしている。また、不信任議決をしたときは、直ちに議長から長に通知がなされる。何をもって不信任がなされたのか争いとなることもあるだけに、この通知行為は重要な意味をもつ(6)
 これに対し、長は、不信任議決をした旨の通知を受けた日から10日以内に議会を解散することができるが、解散せずに10日を経過したときには、長はその日において失職することになる。
 他方、議会が解散され、解散後の新たな議会で再度不信任議決があった場合には、議長から長に対しその旨の通知があったときに、長は選択の余地なく当然に失職する。その場合の再度の不信任議決については、議員数の3分の2以上が出席し、その過半数の同意が必要とされている。なお、解散後初めて招集された議会ではなく2回目以降の議会で不信任議決がなされた場合は、新たな不信任議決となる。
 違法な不信任議決に対しては、長は、再議の手続により争うことができる一方、違法な解散については、議員の側は、これを処分として、行政事件訴訟法の抗告訴訟(取消訴訟・無効確認訴訟)によって争い、あるいは執行停止の仮処分の申立てなどを行うことも可能である(7)
 不信任議決があった場合には、長と議会の議員のいずれかが職を失い、選挙が行われることにより、事態の収拾が図られることになる。もっとも、実際には、議会による長の不信任と長による解散の制度は、議会の側にとっては、不信任議決を行えば解散されるリスクが高いため、議会と長の全面的対立のような場合でもその行使に慎重となる傾向が見られる一方、長の側は、住民の意思を問うため、自発的に退職して選挙に立候補する手段をとるといったことなども見られ(8)、議会と長が対立した場合の調整システムとしてあまりうまく機能していないことが指摘されている。

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