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2020.11.25 議会改革

第14回 長とどう向き合うか

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2 議会と長の関係とそれぞれに対する権限

 議会と長は、ともに直接住民によって選挙され、それぞれの職務権限についておのおのが直接住民に対して責任を負う政治システムとなっている。議会と長は、独立対等の地位にあり、それぞれが自主的に機能を果たせるよう、権限が配分されるとともに、その権限の行使の適正性を確保するために、相互に双方をけん制する権限・手段が与えられている。
 まず、議会の長に対する権限については、広義のけん制方法として、議決権があり、そのほかに、議会への長の出席・報告の要求権、長の行政に対する同意・承認権、議決の執行に関する検査権、調査権などが認められている。なお、長の議会への出席は、議長から求められたときに受動的に議場出席義務が生じるものであり(地方自治法121条)、このほかに、長は予算に関する説明書その他自治体の事務に関する説明書の議会への提出(同法122条)などが義務付けられているところであるが、現実の議会審議は執行部に対するものが中心となっていることが多い。また、副知事・副市町村長の任命の同意をはじめ人事の同意権は、議会の側の大きなけん制手段となっており(1)、それが対立の火種となることも少なくない。
 他方、長には、議案の提出権が認められているほか、議会と対立した場合の調整の権限などが与えられている。例えば、長には、議会の議決に異議がある場合や、議決等が違法であると認める場合の再議等の権限が認められている。これは、議会に対し是正や再考を求める手段といえるが、さらに、議会がその職責を十分に果たせない場合には、議会に代わってその権限を行使する専決処分をすることも認められている。そして、議会と長との対立の調整がいよいよ困難となった場合には、選挙による住民の審判を通じて最終的に解決することが予定されており、そのための手段として規定されているのが、長に対する議会の不信任の議決と、これに対する長の議会解散権ということになる。これらの詳細については、次の3〜5で見ておきたい。
 両者の関係については、それぞれチェック・けん制することでバランスが図られることが期待されているといえるが、長の位置付けや権限は強く、議会の機能強化が叫ばれながらも、政治のリーダーシップに対する期待の高まりなどを背景に、むしろ長の立場はより強まる傾向にある。加えて、長には、再議の場合の予算の原案執行、専決処分、規則の制定権など、議会の議決によらずに決定や行政を行う権限が認められている。
 このようなことから、長が、議会と対立し、独断専行したり、暴走したりするような場合には、議会がそれを止めるのはなかなか難しいのが実情である。阿久根市において2008年から2010年にわたって続いた市長による議会無視、法無視などの行為は、市政を混乱に陥れるとともに、議会による対抗の限界をあらわにし、議会の招集、専決処分、条例の公布などに関する地方自治法の改正をもたらすことともなった。

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