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特集 介護とICT

2020.11.25 ICT活用・DX

介護現場におけるICTの利用促進

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厚生労働省老健局認知症施策・地域介護推進課 秋山 仁

1 はじめに

 日本の人口は減少を続けている中、高齢化の傾向が高まっています。さらに、介護ニーズの急増と多様化に対応することを求められており、介護人材の確保が喫緊の課題であると考えています。このような状況であっても、介護の質を確保し、向上させ、介護現場が地域における安心の担い手としての役割を果たせるよう、いわゆる介護現場における生産性向上の取組みが重要です。
 一方、ICTの活用については、従来の紙媒体での情報のやりとりを見直し、ICTを介護現場のインフラとして積極的に導入していく動きがあります。介護分野のICT化は、文書の作成時間の効率化等の業務負担軽減や、質の高いケアのために有効なツールとなってきています。
 ここで、ICTの利用を促すための取組みについて紹介したいと思います。 介護保険制度が誕生して20年が経過しました。医療、年金に次ぐ第3の社会保険として国民の間へと着実に浸透した一方、その運営をめぐっては多くの課題が山積しています。

2 介護現場における業務改善への取組み

 

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【参考】 厚生労働省ホームページ「介護分野における生産性向上について
    (https://www.mhlw.go.jp/stf/kaigo-seisansei.html

 


 介護現場における生産性向上については、ここ数年、「ニッポン一億総活躍プラン」や「経済財政運営と改革の基本方針」、「未来投資戦略」といった閣議決定文書の中で、人材不足の中でのサービス確保に向けた生産性向上を図るための取組みを進めるよう、記されています。そういった状況を踏まえ、厚生労働省では、平成30年度、「介護サービス事業における生産性向上に資するガイドライン」(以下「ガイドライン」という)を作成し、令和元年度に効果検証や取組みを行う上での関連ツールの作成、ガイドラインの改訂を行い、ホームページで公開する等の取組みを行ってきました。令和2年度は、そういった業務改善に向けた取組みを継続して行うため、事業所の中で取組みを促す存在であるファシリテーターの役割に着目して、その養成のためのポイントを検証し、とりまとめる予定です。
 ガイドラインの中で、介護現場における生産性向上の取組みとして、①職場環境の整備、②業務の明確化と役割分担、③手順書の作成、④記録・報告様式の工夫、⑤情報共有の工夫、⑥OJTの仕組みづくり、⑦理念・行動指針の徹底、が挙げられています。こういった取組みの各段階においてICTを導入することは、業務効率化を加速することになり非常に有効だと考えています。例えば、情報共有の工夫にはICTの活用が考えられ、記録・報告様式の工夫と組み合わせることによって、文書削減の効果も期待できます。また、ICTの活用等により、情報の記録・入力等の間接的業務が削減されることは、従業者の負担を軽減させるだけでなく、食事介助、排せつ介助等、利用者に直接接しながらサービスを提供する業務に注力する時間や人材育成の時間を増やし、介護の質の向上や働きやすい環境づくりにつながるものと考えます。

 

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出典:厚生労働省ホームページ「介護分野における生産性向上について」

図1 介護サービス事業における生産性向上に資するガイドライン

3 介護現場におけるICTの利用促進に向けた取組み

 

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【参考】 厚生労働省ホームページ「介護現場におけるICTの利用促進
    (https://www.mhlw.go.jp/stf/kaigo-ict.html

 


 厚生労働省では、介護現場においてICTの導入が進むよう、「居宅サービス事業所におけるICT機器・ソフトウェア導入に関する手引き」を作成し、ホームページで公開しています。
 一方、介護事業所におけるICTの導入状況については、令和元年度に厚生労働省が行った調査によると、サービス種類によるばらつきはあるものの、全体の半数以上が介護ソフトを導入しており、90%を超える事業所で介護ソフトを導入しているサービスもありました。一方で、以前から導入コストがハードルとなって導入できていないといった声も聞かれており、介護事業所にICTを導入するための財政的支援が必要と考えました。そこで、令和元年度より、地域医療介護総合確保基金(介護従業者確保分)を活用し、「ICT導入支援事業」を創設しました。

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出典:厚生労働省ホームページ「介護現場におけるICTの利用促進」
図2 ICT導入支援事業の概要

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