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2020.11.25 議員活動

第7回 災害廃棄物の処理とハード施設の復旧

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(2)災害廃棄物処理の主体
 災害廃棄物は、一般廃棄物に分類されるため、住民生活に関わる生活環境の保全上の支障を除去する観点から市町村が処理します。農地や林地が被災することに伴い発生する廃棄される農作物や樹木等、河川の氾濫や道路の流失に伴う流木やコンクリート片などは、農地等の所有者や河川、道路等の管理者が処理するのが原則ですが、実際の処理の現場では明確に区分することが難しい場合もあります。
 また、大量に発生した災害廃棄物を早急に処理するためには、単独の市町村等では難しい場合も多く、その場合には地方自治法252条の14第1項に基づく「事務の委託」により、都道府県や他の市町村等に処理を委託することができます。「事務の委託」をする場合、自治体間で協議して規約を設定し(同法252条の15)、双方の自治体の議会での議決が必要です(同法252条の14第3項において準用する同法252条の2の2第3項)。
 東日本大震災の際には、膨大な量の災害廃棄物が発生し、岩手県だけでも、県全体で排出する一般廃棄物量の14年分にも及びました。また、被災自治体も広域にわたるため、実際に関係自治体の首長が出席した協議会を開催し、災害廃棄物処理を県に委託する規約や処理実行計画を定めた上で、処理が行われました。
防災7-3
(3)居住地域からの災害廃棄物の撤去
 大規模災害発生の際には、行方不明者等の捜索に一応のめどが立った段階で、まず、「道路啓開」といわれる道路上の廃棄物の撤去作業が行われ、重機や車両が通行できる状態にします。
 次に、あらかじめ自治体が指定した仮置場に、災害廃棄物の搬入を開始します。この際、災害廃棄物を種類ごとに大まかに分別しておくことが、後の処理を効率的にするために重要です。仮置場に一般住民が家財道具等を直接搬入する場合は、特に分別の徹底を指導することが求められます。また、木くずなどの可燃物は、大量に高く積み上げると廃棄物内部の圧力が高まり、自然発火する可能性もあり注意が必要です。古い冷蔵庫やエアコンなどではフロンガスが使われているので、ガスを回収しなければなりません。このように災害廃棄物の取扱いには注意が必要であり、仮置場には専門的知識を有する職員が巡回するなど監督することが求められます。
 住民が生活する居住地域から災害廃棄物を早急に仮置場へ撤去し、住民の目に直接触れないようにすることは、生活環境や衛生面のほかに、仮設住宅などの建設場所を確保し、住民の心理的ストレスを軽減する効果もあり、地域の復旧・復興を加速するために重要です。また、自治体は災害時に迅速に災害廃棄物の撤去を行うため十分なスペースの仮置場をあらかじめ確保しておく必要があります。
 

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