2020.11.25 議員活動
第7回 災害廃棄物の処理とハード施設の復旧
3 地域事情に応じたハード施設復旧状況の住民への情報公開は十分か
限られた財政やマンパワーの中で大規模なハード事業を何件も並行して実施することは、自治体にとって財政的にも、人材確保の面でも大きな負担です。特に基礎自治体では、土木、建築などの技術職員のマンパワーが不足し、復旧への影響も懸念されます。
そんな中、住民にとっては、生活に直結する復旧・復興工事がいつ頃完成するかの情報公開が十分でない場合、生活再建の見込みが立てにくくなります。
こうしたことから、ハード施設の復旧・復興工事の計画をつくる際に、住民の視点に立ってメリハリをつけて整備の優先順位付けをすることが大切です。そして整備スケジュールを公開し、状況に応じて更新していくことが求められます。これにより、事業の進捗管理を議会や住民が参加した形で行うことが可能になり、住民に安心感を与えることにつながります。
東日本大震災でも、道路や災害公営住宅などの「社会資本の復旧・復興ロードマップ」を作成し、住民に公開している事例が見られました。
地域や住民を代表する議員の皆さんは、被災した場合には、こうした被災地域全体の復興のためのハード整備がどのように行われるか、可視化させ、市民とともに議論する仕組みをつくっていくことが重要です。
(1) 環境省環境再生・資源循環局災害廃棄物対策室「災害廃棄物対策指針(改定版)」(2018年3月)の「用語の定義」参照。
(2) 岩手県「東日本大震災津波により発生した災害廃棄物の岩手県における処理の記録」(2015年)57頁(https://www.pref.iwate.jp/kurashikankyou/kankyou/saihai/1006034/index.html)参照。
(3) 正式名称は「強くしなやかな国民生活の実現を図るための防災・減災等に資する国土強靱化基本法」。
(4) 復旧費の97.5%に対して国が実質負担する制度がある。
(5) 「(けいざい+)ローカル線の悲鳴:4 災害乗り越える鉄路、住民関与カギ」(2020年10月10日付け朝日新聞)参照。
(6) 環境省「第2回 令和元年度災害廃棄物対策推進検討会資料2」(https://www.env.go.jp/recycle/waste/disaster/earthquake/committee2/r1-02/R1_2_02_keikakusakutei.pdf)参照。
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