2020.11.25 議員活動
第7回 災害廃棄物の処理とハード施設の復旧
関東学院大学法学部地域創生学科教授 津軽石昭彦
第7回(第13講、第14講)のポイント
1 大規模災害における災害廃棄物処理は、被災地の復興を考える上で、住宅等の建物の再建場所や交通の確保、公衆衛生の側面だけでなく、被災者の心理的ストレス軽減などの多面的な効果があり、自治体にとっては、被災地の復興のために最初に取り組むべき課題である。
2 被災地の堤防や防潮堤などの公共土木施設の復旧に当たっては、住民の安全・安心に対する納得感が大切であり、科学的説明と住民参加の手続に留意することが望ましい。
3 被災地域のハード施設の復旧は住民生活や地域の振興に密着したものを優先して行うべきであり、工事計画の見通しについて住民に分かりやすく見える化することが求められる。
第13講 災害廃棄物の処理
災害の発生後、更なる災害の危険性がなくなり、被災者の救助がある程度、落ち着いた段階で自治体が最初に取り組むべき事項が、災害廃棄物の処理です。災害廃棄物の処理は、どのように行われるのでしょうか。ここでは、災害廃棄物を処理する意義や処理のプロセスについて考えます。
1 災害廃棄物とは
災害廃棄物とは、「自然災害に直接起因して発生する廃棄物のうち、生活環境保全上の支障へ対処するため、市区町村等がその処理を実施するもの」(1)で、具体的には、災害が発生し住家等が被災することにより使用することができなくなった建物の一部や家財道具、日用品などの廃棄物を指し、報道などでは「災害ごみ」や「災害がれき」などと呼ばれることもあります。
東日本大震災や近年の台風・豪雨災害でも、津波や土砂崩れ、洪水などにより、大量の災害廃棄物が発生しました。災害廃棄物は、①一度に大量の廃棄物が発生すること、②多種多様な廃棄物が土砂と混合した状態となり一律な処理が難しいこと、③早急に処理する必要があること、④技術的にも制度的にも専門的な人材や施設が必要であることなどから、被災自治体にとって、その処理は、復旧・復興に向けて最初に直面する大きな課題になります。