2020.11.10 議会運営
第74回 一般質問における除斥について/外交問題に関する意見書の提出
外交問題に関する意見書の提出
外交問題に関する意見書については地方議会として提出することができないという話を聞いたことがあるが、国会又は関係行政庁に提出することは法的にできないのか。
議会は自治法99条に基づき国会又は関係行政庁に地方公共団体の公益に関する事件について意見書を提出する権限を有し、提出するに当たっては意見書が機関意思決定議案であることから、標準市議会会議規則14条におけるその他のものに係る提出要件を満たせば提出することができる。
【自治法99条】
普通地方公共団体の議会は、当該普通地方公共団体の公益に関する事件につき意見書を国会又は関係行政庁に提出することができる。
ここで、外交問題は一般的には国の事務であるため意見書の対象となるかどうかについて疑義が生じるが、意見書を提出するに当たっての要件である地方公共団体の公益に関する事件に該当するかどうかが問題となる。
地方公共団体の公益に関する事件とは、地方公共団体において公益に関する事件であると判断するかどうかのものであり、画一的な基準がないことから、各地方公共団体の議会で外交問題が公益に関する事件に該当するかどうかを判断すれば足りる。それゆえ、地方議会が外交問題を公益に関する事件であると判断すれば意見書を提出することは可能である。
なお、総務省は前身である自治省のときに昭和38年8月29日及び昭和41年3月2日に各地方公共団体に対し当該団体の公益に関する事件であっても国の外交政策に関連し交渉に影響を及ぼすこともあるので、慎重な態度をとることが望ましいとの見解を事務次官通知として出している(現在は行政実例集から削除)。