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特集 介護とICT

2020.11.10 ICT活用・DX

介護分野におけるICT導入の現状と課題

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ICT導入の効果を上げるための戦略的フロー

 もう一つの課題が、導入効果を上げるためのノウハウです。設備だけを整えても、現場でそれを使いこなせなくては、「宝の持ち腐れ」となります。

 必要なのは、「ICT導入ありき」ではなく、現場が直面している課題をきちんと分析することです。そして、その解決のための「手段」としてICTを位置付けていくという戦略的なフローが描けるかどうかが問われています。

 例えば、現状における最も大きな現場負担とは何か、どんな業務シーンにそれが現れているのか──これを現場からのボトムアップで集積することが欠かせません。となれば、組織のトップが日頃から現場との円滑なコミュニケーションを築いていることが必要です。つまり、現場の風土改革が入り口となってきます。

 その上で、現場から集積された課題を分析し、どのようなシステムをどのような形で導入することが解決に結びつくのかを組織的なプロジェクトとして進めなければなりません。

 ここで「組織的」と述べた理由は、ICT導入などの仕組みの改革は、業務環境に一定の変化をもたらすからです。この「変化」に対して、組織内の十分なコンセンサスが得られなければ、システム改革に追いつけない(活用できない)人材が振り落とされることになります。これは、チームケアという重要な軸を揺るがすことになりかねません。

ICT推進に向けては明確な人材像も必要に

 以上の点から求められてくるのは、組織のトップによるマネジメント力であり、そのマネジメントを現場に反映させられる「つなぎ役」となる人材の育成です。

 仮に現場の課題解決に「ICT導入」が必要となった場合、例えばIT関連について一定の知識を持つ人材もそこには必要になってくるでしょう。場合によっては、IT業界から介護業界へ参入してくる人材などが頼りになってくる可能性もあります。

 タイミング的なことでいえば、新型コロナウイルスの感染拡大による景気の低迷により、あらゆる業界での有効求人倍率が上昇しています。こうした状況を受けて、厚生労働省も2021年度予算の概算要求で、他業種で働いていた者を対象とした「介護職就職支援金の貸付事業」などを新型コロナウイルス対策の「事項要求」枠に盛り込んでいます。

 未経験者の採用拡大については、事業所・施設としては二の足を踏む部分もあるかもしれません。しかし、仮に(ITなど)他業種で培ったスキルが見込めるとすれば、先に述べたICT導入に向けた必要人材として位置付けることも可能です。

 いずれにしても、介護現場の変革下で、どのようなスキルが求められるのかという人材像をきちんと描けるかどうか。このあたりが、ICT導入の成否のカギとなるのかもしれません。

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