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特集 介護とICT

2020.11.10 ICT活用・DX

介護分野におけるICT導入の現状と課題

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介護福祉ジャーナリスト 田中 元

介護保険制度が直面している三つの課題

 介護保険制度が誕生して20年が経過しました。医療、年金に次ぐ第3の社会保険として国民の間へと着実に浸透した一方、その運営をめぐっては多くの課題が山積しています。

 現場でのサービス提供という観点での課題は、大きく分けて三つが挙げられます。

 一つは、現役世代の中長期的な減少に伴い、現場の労働力不足が深刻化していること。労働力不足は他業界でも同様ですが、人件費コストの多くを保険給付に頼らざるを得ない中では、他業界との人材獲得競争でどうしても遅れが生じてしまいがちです。

 二つ目は、地域包括ケアシステムによって高齢者の療養の場が「病院から地域へ」と移行スピードを速めていることです。医療からリハビリ、介護への切れ目ない連携が不可欠になり、介護現場でも、多くの専門職による日常的な協働が実務に深く入り込んでいます。

 三つ目は、直近の課題です。今年に入っての新型コロナウイルスの感染拡大により、利用者へのサービス提供のみならず、先の多職種協働でも「対面」による密なコミュニケーションを避けざるを得ない状況が生まれていることです。医療ではオンライン診療などが急速に進展していますが、介護でも「3密を避ける」形でのオペレーションが模索されています。
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出典:2018年4月12日経済財政諮問会議加藤臨時委員提出資料(厚生労働省)
図1 人口構造の変化

現状の課題解決に向けて急浮上したICT

 この三つの課題に対応する上で、カギとして浮上しているのがICTです。

 ご存じのとおり、ICTとは「information and communication technology(情報通信技術)」の略です。重要なのは、情報を集積・分析する技術(IT)のみならず、その集積・分析された情報を、人同士あるいは人と物の間でつなげていく技術だということです。

 人同士はともかく、「人と物の間でつなぐ」とはどういうことでしょうか。

 この場合の物とは、センサーによる見守り機器などが挙げられます。例えば、施設内の利用者の居室にセンサーを設置し、本人の夜間の動向・バイタルなどの状況をキャッチするとします。その情報を、離れた場所に待機する職員に「つなげる」ことでケアのタイミングを把握していく──こうした一連のシステムがICTとなります。

 よく介護ロボットなどとICTが混同されたりしますが、遠隔においても情報の共有が図れるという点がICTの特徴であることを押さえておきたいものです。

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図2 ICTとはどういう位置付けか?

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