2020.10.26 議員活動
第6回 防災復興の行政組織と政策立案
2 復興期における自治体の政策
(1)復興計画等とは
大規模な災害からの被災地の復興のためには、被害がハード・ソフトの様々な分野に及ぶことから、「復興計画」等として、復興政策全般にわたる方向性がとりまとめられることがあります。筆者が調査したところでは、過去の大規模地震の際には、復興計画が半年から1年程度で策定されています。
もともと、大規模災害の際に自治体が「復興計画」をつくることについては、法的な根拠はありませんでした。1995年1月に発生した阪神・淡路大震災の際に、神戸市が「復興計画」を策定したことを受けて、同年7月に策定された国の「防災基本計画」において、自治体が復興計画を策定することを明示したことが最初といわれています(8)。また、東日本大震災では、東日本大震災復興基本法4条で、国が定める「東日本大震災復興基本方針」を踏まえて、自治体は「計画的かつ総合的に、東日本大震災からの復興に必要な措置を講ずる責務を有する」ことが定められています。国の基本方針では、自治体が策定する復興計画を前提として国の各種施策が定められています。
その後、東日本大震災において自治体が復興計画を策定したようなスタイルは、2013年に制定された「大規模災害からの復興に関する法律」で一般法化され、東日本大震災級の巨大災害が発生した場合には、東日本大震災の際と同様に被災市町村が復興計画を策定することとされました。しかし、東日本大震災級までには至らない規模の災害は、この法律の対象とならず、計画策定は自治体の自主的判断に任されています。法律の対象とならなくても、地域にとっては大きなダメージとなる大規模災害が発生した場合には、復興の道筋を示す復興計画を策定することが有効です。そのような自治体独自の復興計画の策定について、条例で定めている自治体もあります(愛媛県など)。
(2)復興計画の策定
大規模災害の被災地の復興については、ハード・ソフトの様々な分野の政策にわたります。その意味で大規模災害からの復興は、被災地の地域づくり政策そのものといっていいでしょう。しかも、通常は長い時間をかけて実施していく施策を短期間で実施しなければ、地域の再生に支障を来してしまいます。迅速性が要求される点で、一般的な自治体の総合計画などよりも策定期間が比較的短い傾向があります。
また、計画の内容については、内閣府の「復旧・復興ハンドブック」などを見る限り、「安全性確保」、「生活支援」、「産業振興」の3分野が中心で、実際の自治体の復興計画も、それぞれの地域性や災害の特性に基づく個別の施策が盛り込まれていますが、おおむねこの3分野の施策に集約されます。
策定のプロセスについても、基本的には通常の自治体の計画と同様に、外部有識者会議での審議⇒議会での議論⇒パブリックコメント等の市民参画の手続を一応踏んでいますが、策定の迅速性にも配慮しながらスケジュールを考える必要があります。